横浜FM29年ぶりの快挙 GK高丘陽平が見据えるさらなる高み「もっと突き詰めていきたい」
「自分に求めているレベルはもっともっと高いところにある」
トリコロールの強さを支えたのは毎日のハードワークだ。いつ、どのタイミングで出場機会が訪れても高いパフォーマンスを発揮できるように、全員が高い意識と強度で汗を流している。高丘も例外ではなく、全体練習が終わってからシュートストップに磨きをかける姿はもはや日常になっていた。
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「F・マリノスの選手は練習から常にハードワークしていて、試合でも僕のところにボールが来るまでにみんながハードワークしてくれています。だからこそ最後に自分がしっかりとしたプレーを見せられるかどうかが勝敗に直結する。選手だけでなく監督やスタッフもハードワークしていて、そういった積み重ねや頑張りに対して、僕が代表して賞をいただいたと思っています」
どこまでも謙虚に、チームとしての受賞を強調する。
そして、横浜F・マリノス所属のGKがベストイレブンに選出されたのは1993年の松永成立氏(現在は横浜F・マリノスGKコーチ)以来、実に29年ぶりの快挙。普段からグラウンド上で指導を仰いでいるレジェンドに追いつき、追い越せと日々精進している。
「シゲさんはチームのレジェンドであり、日本代表としてもゴールマウスを守ってきた偉大な先輩です。その方に指導してもらえているのはうれしいことで、だからこそいただけた賞だと思います。これだけで肩を並べられたとは思いませんが、F・マリノスのGKとして受賞できたことが光栄です」
優勝やベストイレブンは高丘にとって通過点に過ぎない。よりハイレベルなGKとして名前を轟かせるために、これからも鍛錬を続いていく。
この成功体験を、次の成長へつなげていくために。視界には一点の曇りもない。
「苦しいシーズンだったと思います。なかなか勝てない時期もありました。仲間に助けられた試合もありました。たくさん悔しい思いもしましたが、次にどう生かすか考えながらプレーしてきました。優勝したら泣いてしまうのかと思っていました。でも涙は出てきませんでした。うれしい気持ちはもちろんありますが『まだまだ』と感じている部分もあるからだと思います。自分に求めているレベルはもっともっと高いところにあります」
すべては進化の過程。横浜F・マリノスの押しも押されもせぬ守護神として、さらなる高みを目指していく覚悟だ。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)