大坂なおみとの絆は「デスノート」から生まれた バイン氏が築いた“信頼のカタチ”
“バーンアウト”の心配はなし「彼女の才能に限界はない」
全米オープンを制し、全世界の注目を一身に浴びた大坂は、メディアでも引っ張りだこになった。グランドスラム優勝という目標を達成したことに加え、取り巻く環境の急変に“バーンアウト(燃え尽き症候群)”を心配する声も上がるが、バイン氏は「そこまで気にしていない」と話す。
「僕はナオミが健康であれば、今戦っているレベルから大きく後退することはないと思う。もちろん、人生は何が起こるかわからないし、そのために準備をする必要はある。だが、たとえ失敗やつまずきがあっても、そこから学ぶことができれば、必ず元に戻れる。ナオミはその資質が備わっているから」
これまでは常に挑戦者であり続けたが、来季からは前回優勝者として挑戦を受ける立場になる。追いかける者と追われる者。立場は変わるが、バイン氏が大坂に期待するのは、これまでと同じ、常に上を目指す姿勢だ。
「グランドスラムで何度も優勝する可能性があると思うし、世界ランク1位になる可能性もある。もちろん、彼女自身それを強く望んでいることも知っている。その気持ちがなければ、僕は彼女のコーチを引き受けてはいない。一番大切なのは、どんな立場になっても、毎日少しでも上達したい、世界最高の選手になりたいという思いを持ってコートに立つこと。僕はそれを達成できるようにサポートできる存在ありたい。彼女の才能に限界はないからね」
相性ピッタリのコーチと出会い、殻を破ることに成功した大坂は、10月16日に21歳の誕生日を迎えたばかり。無邪気さと素直さを持つテニス界の新ヒロインは、どこまで大きく羽ばたくのか。その未来は限りなく広がっている。
(終わり)
(佐藤 直子 / Naoko Sato)