【ハンドボール】“小さな夏の奇跡”の終わり 17人の麻生に残った涙と汗と、底抜けの笑顔
貫いた底抜けの明るさ「強豪に食い下がっていくのはうちみたいなチームと証明できた」
「まだまだ弱いチームなんですが、きっと大きなことを成し遂げるのは、底抜けの明るさを持っているチームだと私は思うんです。強豪と呼ばれるチームは、どしっと構えていますが、それに食い下がっていくのは、うちみたいなチームなんじゃないかなと。そこを今回証明できたと思います。
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こうして1、2年生が悔しくて泣いているのは、チームの財産だなと思いますね。全然満足していない。もっとうまくなりたいんだなと。彼女たちの潜在能力はまだまだある。それを引き出すのが私の仕事ですね」
小沼監督と高野ら3年生が始めた冒険の第1章は、インターハイの2回戦で幕を下ろした。ここから新たに始まる「章」へと踏み出す高野は、やはり笑顔だった。
「負けたこの試合で得たものだったり、成長できたことがたくさんあると思う。それを糧にして、後輩たちにはもう一回このインターハイの舞台に戻ってきてやる、という強い気持ちを持ち続けて、どんなに辛いことにも負けず、どんどん挑戦し続けるチームになってほしい。高校卒業後もハンドボールを続けるつもりなので、怪我で全国でもプレーができなかった悔しさをどんな状況でも絶対に忘れないでプレーを続けて、強くなって成長した姿をこのチームメートのみんなに見せたい」
号泣していた浜田も「これから復帰するまでは自分ができることをやって、復帰してからは自分がチームを引っ張って、また来年もこの舞台に立てるように、そして、来年は今年の結果よりももっと上を目指して、先輩たちの分まで自分たち2年生が中心になって練習に取り組んでいきたい」と充血した目で前を向いた。
小沼監督も、新たな挑戦に心を躍らせる。
「常に船出です。嵐の日もあれば、風のない日もある。今回はいい風に乗れて、ここまで来れた。また新たな船出ということで、きっとまた色々な試練が訪れると思うんですけど、逞しく乗り越えていければと思います」
◇インターハイのハンドボールは7月27日より6日間にわたって熱戦が繰り広げられる。今大会は全国高体連公式インターハイ応援サイト「インハイTV」を展開。インターハイ全30競技の熱戦を無料で配信中。また、映像は試合終了後でもさかのぼって視聴でき、熱戦を振り返ることができる。
(山田 智子 / Tomoko Yamada)