料理クラブ所属でバドミントン全国大会へ 異例の出場で「初めてスポーツを楽しいと思った」――京都明徳・中路心那/手塚結萌乃
3月24日から28日まで、香川県高松市で行われた「第54回全国高校選抜バドミントン大会」に、奇妙なペアが出場していた。女子団体1回戦を戦った、京都明徳高校だ。第1ダブルスに起用された中路心那(2年)/手塚結萌乃(1年)のペアは、中路のポジションが極端に固定され、手塚がシングルスのようにコートを広く駆け回るスタイルだった。実は、中路は料理クラブの所属。人数合わせの助っ人だった。

全国高校選抜バドミントン大会・女子団体
3月24日から28日まで、香川県高松市で行われた「第54回全国高校選抜バドミントン大会」に、奇妙なペアが出場していた。女子団体1回戦を戦った、京都明徳高校だ。第1ダブルスに起用された中路心那(2年)/手塚結萌乃(1年)のペアは、中路のポジションが極端に固定され、手塚がシングルスのようにコートを広く駆け回るスタイルだった。実は、中路は料理クラブの所属。人数合わせの助っ人だった。
京都明徳の女子バドミントン部は、少し変わった形式で活動している。渡邉哲義監督は、社会人クラブチームのトリッキーパンダースでも監督を務める指導者。自前のアリーナで育成年代の指導も行っている。京都明徳は、このアリーナで練習する選手でチームを編成している。
京都明徳に通学し、トリッキーパンダースで練習するスタイルのため、単純に高校での部活動としては、選ばれにくい。また、やたらと人数を多く集め過ぎると、練習のレベルがかみ合わなかったり、コート数が間に合わなくなったりするため、適したレベルの人数確保に苦慮している。今後、スクールから高校に進む選手の輩出で解決していく見込みだというが、25年度の1年生は、手塚のみ。2複3単の団体戦では、最低5人が必要だが、2年生は3人。新入生が1人となった時点で、助っ人が必要になった。
部を引率する教員の中村契仁さんが選手と話し合っていたところ、通りかかった中路に声がかかったという。中路は中学時代にソフトボールを経験しているが、本人いわく「かじったくらい」だという。バドミントンは未経験だったが「チームが全国に出られるくらい強いのは知っていた。強いのに出られへんのは、かわいそう。みんなが喜んでくれるならいいかなと思った」と快諾。大会直前だけ練習に参加する形で、25年度の団体戦に加わることになった。京都府の大会では、勝利した試合もある。手塚は「こっちとしては、大会に出られるだけでもありがたい」と話した。
全国大会では、2ゲームとも1ケタ得点に抑えられて完敗だったが、1点取る度に大喜びだった。経験者の手塚は「今までで、一番良かった。相手の球を前の方で止めてくれて、すごいと思った」と助っ人参加に感謝。中路は「初めて、スポーツを楽しいと思った。最初は緊張したけど、出てくれるだけでいいと言ってくれるし、点が入ったら自分以上に驚いて喜んでくれる。(体育会系にありがちな)ギスギスした感じがない。気ままにできたし、楽しかった。親も喜んでくれるくらい、良い経験だった」と挑戦を振り返った。
様々なスポーツに、様々なチームが存在する。しかし、種目の特性、指導スタイル、競技志向など、いろいろな相性の面で折り合わない場合、スポーツの楽しさを感じられない、あるいは見失うケースもある。選手の意思と、チームの志向は、一致するのが理想的だ。
京都明徳のケースを考えても、本来なら、それぞれにもっと理想的な形はあったはず。しかし、全国大会に出るチームと、スポーツに楽しさを見出せずに文化部を選んだ生徒という、本来ならかみ合わなくなっているはずの2つが、不測の事態でマッチングされ、進歩を楽しむ初心に双方が価値を見出すこととなった。
素人と組む大変さがあったはずの手塚は「(中路が試合の中で羽根を)打てるだけでもすごいから、小さい子が何かを初めてできた時のように、すごい、すごいと思いながらやっていた。ペアを組むようになってから、試合を全部、楽しめるようになった。ほかの子と組む時も、緊張に押しつぶされそうということがなくなった」と話した。1点ではしゃぐコート。全国大会では、少し違和感のある雰囲気ではあった。しかし、そこには、誰もがスポーツで感じるべき第一歩の喜びがあふれていた。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)
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