技巧派レフティーから大変貌 昨季0得点→11ゴール、FW三島拓人の意識を変えたコンバート
自らの課題も認識「謙虚にやれば考え方も変わる」
ただ、得点に責任を感じるからこそ生まれる難しさもある。夏のインターハイは、1回戦の帝京大可児(岐阜)戦で1-6の大敗。開始1分で失点し、動揺から良いプレーを出せなかった。三島は「自分では普段どおりと思っていても、仲間からは、自分がやろうという気持ちだけが先走っていると言われました」と振り返る。
味方にパスを出してボールを奪われれば、ドリブルを仕掛ければ良かったという気持ちになるものだ。逆に、ドリブルでボールを取られることもあるが、自分のプレーだから納得はしやすい。少しでも自分が点を決めなければと思うと、知らずに気持ちのバランスが傾き、球離れが悪くなる。
「自分でやろうとするから、課題になっている決断のスピードが遅くなり、もっと難しい状況にしてしまう。技術面ではないので、変わろうと思えば変われるはず。(高校で最後の大舞台となる)高校選手権とかになれば、もっと自分がやらなければという気持ちになるはず。同じではいけない。(他人の助言を)聞く耳をしっかり持って(課題を)受け入れて、謙虚にやれば考え方も変わって、FWとしてもっと上手くゲームを進められるはず」
ドリブルかパスか、自分か味方か。追い込まれた時に、しっかりと決断できるか。三島は自信や覚悟を持つことと、仲間との強力な信頼関係を築くことの両立に取り組み始めている。
大学に進学予定だが、将来の目標はプロ。プリンスリーグ中国で得点王に輝き、選手権で夏の雪辱を果たし、夢に向かって扉を開けていけるか。新境地を開拓しているストライカーは、技術や体力だけでなく、心と頭まで鍛え上げようと努力を続けている。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)