理系コースの4番、夢は「薬の研究者」 名門進学校・湘南、意表を突いた安西和樹が「してやったり」
第105回全国高校野球選手権・神奈川大会は12日、バッティングパレス相石スタジアムひらつかで2回戦が行われ、第3シードの湘南が2-1で三浦学苑を下し、3回戦進出。4番・安西和樹内野手(3年)の意表を突いた2球連続セーフティースクイズで奪った先制点がそのまま決勝点となった。
第105回全国高校野球選手権・神奈川大会
第105回全国高校野球選手権・神奈川大会は12日、バッティングパレス相石スタジアムひらつかで2回戦が行われ、第3シードの湘南が2-1で三浦学苑を下し、3回戦進出。4番・安西和樹内野手(3年)の意表を突いた2球連続セーフティースクイズで奪った先制点がそのまま決勝点となった。
メガネの奥がきらりと光った。0-0で迎えた3回1死二、三塁。安西はカウント2-0から3球目をバントの構えで空振りした後、監督のサインを見てうなずいた。4球目、再びセーフティースクイズ。外角の変化球を一塁手の前に綺麗に転がした。本塁送球も間一髪でセーフ(記録は野選)。頭脳戦で意表を突き、先制点を挙げた。
2球連続という監督の采配が見事的中。「想定はしていなかったけど、バントの練習を念入りにしてきたので、してやったりです」と4番ながら柔軟に対応した安西。「相手投手は直球に変化球を織り交ぜてくると聞いていたので、変化球を狙いました」とデータを生かした戦略に胸を張った。
湘南は東大法学部からプロ野球に進んだ宮台康平(元日本ハム)らを輩出した県内有数の進学校。安西も野球との両立に励んでいる。理系コースに在学する3年生。平日は朝に打撃練習して授業に出た後、19時まで練習。隙間時間を有効に使い、帰宅後も1、2時間の勉強は欠かさない。
そんな文武両道の4番が目指す夢は薬の研究や開発。「自分で研究して一から作り出すことが好き」と話す安西は、中学時代に製薬会社を見学したことがきっかけで興味を持つように。今大会が終われば、志望する難関・東工大合格に向けて受験勉強に専念する。
「小学生からメガネで、母もそう。コンタクトの選択肢がなかった」というグラウンドでも印象的だった生粋のメガネっ子。3回戦は14日・関東学院戦(横須賀)。「自分が打って、自分がしっかり守って、チームを勝たせられたら」。レンズの奥の瞳は夏の頂を見据えた。
(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)