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甲子園に憧れたチア、敗れても感謝の夏 横浜商大高・廣井結子「声出しで終われてよかった」

第105回全国高校野球選手権・神奈川大会は8日から1回戦が始まった。サーティーフォー保土ヶ谷で行われた鎌倉学園―横浜商大高の好カードは、鎌倉学園が8-4で勝利。敗れた横浜商大高の応援スタンドには、特別な思いを抱いて踊るチアリーダー・廣井結子さん(3年)がいた。

スタンドから応援する横浜商大高チアリーダーの廣井結子さん【写真:中戸川知世】
スタンドから応援する横浜商大高チアリーダーの廣井結子さん【写真:中戸川知世】

第105回全国高校野球選手権・神奈川大会

 第105回全国高校野球選手権・神奈川大会は8日から1回戦が始まった。サーティーフォー保土ヶ谷で行われた鎌倉学園―横浜商大高の好カードは、鎌倉学園が8-4で勝利。敗れた横浜商大高の応援スタンドには、特別な思いを抱いて踊るチアリーダー・廣井結子さん(3年)がいた。

 球場で爽やかな汗を流すのは、グラウンドで真剣勝負を繰り広げる球児だけじゃない。この日、一塁側スタンドでは、鮮やかなオレンジと白のポンポンが計40個近く揺れていた。チアリーダーとして、横浜商大高ナインに9回まで全力エールを送り続けたのは同校のダンス部。主将の廣井さんも、聖地への思いを胸に最後の夏を迎えていた。

 父・義充さんが野球をやっていたこともあり、高校では野球部を応援できるダンス部に入った。「小さいころから甲子園に憧れがあった。楽器は吹けるほうではないので、チアで」。投手だった義充さんは大学時代、この日指揮を執った1学年上の八木澤辰巳監督とバッテリーを組んでいる不思議な縁もあった。

 今大会は4年ぶりに声出し応援が復活。ダンス部には思わぬ壁が立ちはだかった。踊ることはできても、なかなか大声が出ない。当たり前だった声援の送り方すら、コロナ禍が一時的に忘れさせていた。

「とにかく音楽の授業でもあまり声を出したことがない代。踊っている最中に声を出すタイミングも、自分たち3年生しか知らなかった」

 数少ない経験を22人のダンス部員で共有し、苦労を重ねてなんとか形にできた。1回戦屈指の好カードは終盤まで両校譲らぬ展開。応援にも熱が入ったが、軍配は鎌倉学園に上がった。

 聖地行きは叶わなくても、廣井さんの心に残るのは感謝ばかりだ。「最後の夏、声出し応援で終われてよかった。全力でできたので悔いはありません。野球部のみんなには『本当にお疲れ様、ありがとう』と伝えたいです」。球場を去る目に涙はなく、大切な時間を過ごした充実感を漂わせていた。

(THE ANSWER編集部)

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