元野球少年で広島ファン 164cmと小柄な沖本優大、高校選抜バドミントンで涙の3冠
獲れるタイトルを、すべて手中に収めた。3月28日まで岩手県の花巻市総合体育館で行われたバドミントンの全国高校選抜大会で、男子の沖本優大(埼玉栄・2年)が団体戦、個人種目のシングルス、ダブルスのすべてを制して3冠に輝いた。身長164センチと小柄ながら、力強いジャンピングスマッシュを何度も披露。動き続けても精度の落ちないプレーで試合の要所を押さえ、3つのタイトルを獲得した。最後の種目となったシングルスの決勝は、180センチの長身選手と対戦。ネット際に低く沈める球を多用して、相手が得意とする上から打ち下ろす球を使わせない試合運びが光った。
バドミントンの全国高校選抜大会、埼玉栄2年の沖本優大が快挙達成
獲れるタイトルを、すべて手中に収めた。3月28日まで岩手県の花巻市総合体育館で行われたバドミントンの全国高校選抜大会で、男子の沖本優大(埼玉栄・2年)が団体戦、個人種目のシングルス、ダブルスのすべてを制して3冠に輝いた。身長164センチと小柄ながら、力強いジャンピングスマッシュを何度も披露。動き続けても精度の落ちないプレーで試合の要所を押さえ、3つのタイトルを獲得した。最後の種目となったシングルスの決勝は、180センチの長身選手と対戦。ネット際に低く沈める球を多用して、相手が得意とする上から打ち下ろす球を使わせない試合運びが光った。
3冠達成の瞬間、沖本はラケットを手放して咆哮した。
「(チャンピオンシップポイントとなった)20-17の時から泣きそうになっていた。昨年は(大事な試合で)自分が足を攣ったりして、いろいろな人に迷惑をかけた。そういう人たちへの感謝の気持ちは、こういう時しか(形で)表せない。勝った瞬間、嬉しかったというより、感謝の気持ちが伝えられたかなと思いました」
そう話して涙を拭った。大会直前にはオランダ、ドイツでジュニアインターナショナルの大会をシングルスで連続優勝。勢いをつないで国内でも結果を残した。
沖本は、全国小学生大会を3連覇するなど早くから結果を出しており、世代別の日本代表も経験。昨年は、高校2年生までが対象となる全日本ジュニア選手権でシングルス準優勝、ダブルス優勝。12月の全日本総合選手権では、大学生を破って1回戦を突破した。2回戦でも、3位となる選手を相手に1-2(12-21、21-16、18-21)と競り合って存在感を示している。その戦いぶりが評価され、同世代のライバルである谷岡大后(ふたば未来学園・2年)とのペアで、2023年の男子ダブルスの日本B代表に選出。代表選出はインターネットニュースで知ったといい、谷岡に連絡をして2人で喜んだという。
将来の夢は五輪の金メダルだが、小学生の頃はプロ野球選手を目指していた。野球とバドミントンの二刀流で「土曜日は、午前はバドミントン、午後は野球みたいな感じだった」と振り返る。広島県出身でカープファン。サードを守っていた小学生の頃は、マツダスタジアムへプロ野球観戦に行っていたという。憧れていたのは、2008年から20年まで広島に在籍して「代打の切り札」と呼ばれた小窪哲也さん。「代打は1回しか勝負がないのに、任されたところで(勝負を)決める姿がすごくて、最初に見てからずっとファンでした」と熱っぽく語った。
今でも平日の練習が終わるとすぐにプロ野球の速報アプリを立ち上げるほど、広島を熱心に応援している。今大会でダブルスを組んだ角田洸介(2年)は楽天イーグルスのファン。野球の話を通じて親睦を深めている面もあり、沖本は「(角田が好きなチームが)同じリーグじゃなくて良かった。ケンカになります」と笑った。
大会終了後は、すぐに移動して、翌日から谷岡とのペアで国際大会の大阪インターナショナルに出場した。日本代表に入り、社会人を相手に戦う機会も増えるが、現在は高校卒業後の進路について、大学か実業団か、主戦場はシングルスかダブルスかと頭を悩ませているという。ただし、当面の目標は定まっている。夏のインターハイでの3冠再現だ。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)