香ケ丘リベルテ、選抜準Vの桜丘下し4強入り 勝因は胸に刻んだ「オオカミの口の中へ」
逆転勝利をつかんだ分析力とチーム力
1番の赤江が作った流れを、2番の村上が1-2からの逆転勝利でつなぐ。だが、3番のダブルス(赤江・司vs野村・小林)はあっさり2セットを連取されてしまう。
しかしそこかから、赤江を中心にチームは大きな成長を見せる。「僕も0-2から挽回すると思っていなかったので、少しびっくりしているんですけど」と近藤監督の予想を超える粘りを見せて、何度もマッチポイントを握られながら3セット目を奪い取ると、4、5セットは完全に香ケ丘リベルテの流れだった。
ダブルスでの見事な逆転劇を赤江はこう振り返る。
「1、2セット目は何をしたらいいか分からなくて、自分たちのいい展開を見つけることができなかった。司さんのドライブを(桜丘の)小林(りんご)選手がカットしてきたときに、それを自分が全く打てなくて。その展開ではダメだと思ったので、司さんにドライブじゃなく、ツッツキで返してもらって、自分が打つ形にしようと思ったんですけど、それでは司さんの良さを封じてしまうので、迷っていました」
3セット目からは「ビビってやっていても勝てない相手なので、それこそ開き直りじゃないですけど……」と気持ちを切り替えた。「司さんは一発に威力があるので、『守らずに、思い切って打っていいよ』と話しました。最後は自分たちがノリにノレて、お互いのドライブが全部入り始めた。自分たちの展開を見つけて、しっかり勝ちきれたのは大きかったです」と笑顔を一層輝かせた。
4人という最も少ない登録数で戦う香ケ丘リベルテだが、苦しい展開の中でも4人で声を掛け合い、笑顔でプレーする選手の姿が印象的だった。
「司さんは1年生なので、シングルスとダブルスの2セット出るのはしんどいと思うんです。だからミスしても『大丈夫、大丈夫』と自分が支えようと考えています。ベンチの人数も少ないですが、1人でも盛大に盛り上げて。試合をしている人も自分で盛り上がったり、笑顔を作ったりして、モチベーションを上げる感じで。4人で助け合っています」
さらに赤江は、そうしたチームプレーを通して、自分自身のメンタル面での成長を感じていると話す。「今まではエースとして『負けたらどうしよう』と気負ってしまうこところがあって、団体戦は苦手だったんですけど、この大会で『負けても、他が勝ってくれる』『自分が勝っていい流れを作ろう』とポジティブに考えられるようになりました」。
今大会の目標は「挑戦者なので、1戦1戦頑張っていくこと」と近藤監督は控えめだが、赤江は「団体は優勝、シングルも優勝して2冠」と力強く宣言。7連覇中の“オオカミ”を倒すためには、思い切りと楽しむことが不可欠だ。
(山田 智子 / Tomoko Yamada)