錦織のグランドスラム制覇は「遠くない」 専門家がマレー戦から見出した光明とは
今後の鍵は「体力面、精神面で5セットを戦い切る余力を作れるか」
故障を抱えながらのツアー連戦により、手首の痛みのコントロールや試合勘の強化など、パフォーマンス向上以外の難しいテーマを錦織は抱えている。ただ、故障の問題を解消させ、周到な戦略さえ練ることができれば、日本人初の偉業達成の可能性は高まるという。
そして、マレー戦では今後に向けた光明もあったと綿貫は見ている。
「ディフェンス力が世界NO1と呼ばれるマレー選手から、誰よりも簡単にポイントを奪っていたのも事実です。マレー選手が恐れるほどのショットのクオリティも見せていました。錦織選手が第3セットで一度ブレークバックして3-3に戻しましたが、このゲームではマレー選手が追い詰められて、ラリーを嫌がり、精神的に逃げる形でドロップショットを選択していました。そのような場面は第1セットでも何度かありました。錦織選手の脅威を感じていたと思います」
局面では光るプレーを見せていたのは事実だ。さらに、こう続ける。
「骨組みはできていると思うので、単発的に見せていたハイクオリティを5セットマッチで一貫して見せることができるかが今後の鍵になります。体力面、精神面で5セットを戦い切る余力を作れれば、グランドスラム優勝も見えてくるのではないでしょうか。そのためにも、まずは怪我をしっかりと直すことが大事でしょう」
マレーを追い詰めた鋭いプレーを、単発ではなく、1試合を通じて繰り出すことができるか。今回の敗戦を糧にして、7月に行われるウィンブルドンでの錦織の巻き返しに期待したい。
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ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer