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日本が悪魔のカウンターに沈んだ理由 リトバルスキー「日本はそれができなかった」

サッカー日本代表は、ワールドカップ(W杯)ロシア大会決勝トーナメント1回戦でベルギーに2-3で惜敗。後半アディショナルタイムに失点する壮絶な逆転負けを喫した。史上初の8強をあと一歩で逃した“ロストフの悲劇”は避けられなかったのか。西ドイツ代表として90年イタリアW杯優勝に貢献したピエール・リトバルスキー氏は「THE ANSWER」の単独取材に応じ、「9秒35」の高速カウンターが生まれた背景には「対戦相手への敬意」という日本文化で培われてきた価値観の存在を指摘している。

カウンターからゴールを喫した日本代表【写真:Getty Images】
カウンターからゴールを喫した日本代表【写真:Getty Images】

9秒35に見えた「相手への敬意」、元ドイツV戦士が指摘「ファウルで止めるべきだった」

 サッカー日本代表は、ワールドカップ(W杯)ロシア大会決勝トーナメント1回戦でベルギーに2-3で惜敗。後半アディショナルタイムに失点する壮絶な逆転負けを喫した。史上初の8強をあと一歩で逃した“ロストフの悲劇”は避けられなかったのか。西ドイツ代表として90年イタリアW杯優勝に貢献したピエール・リトバルスキー氏は「THE ANSWER」の単独取材に応じ、「9秒35」の高速カウンターが生まれた背景には「対戦相手への敬意」という日本文化で培われてきた価値観の存在を指摘している。

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 準々決勝でブラジルを破った“赤い悪魔”ベルギーを追い詰めていた日本。あの高速カウンターさえ防いでいれば、カザン・アリーナのピッチに立っていたのは、日本だったかもしれない。

「あのカウンターの場面は守備のマネジメントが足りなかった。セットプレーの後の帰陣が遅かった。それでも、ファウルで止められていれば問題なかった。むしろ、ファウルで止めなければいけなかった場面だった。クロアチアならファウルで止める。ブラジルもそう。ドイツもファウルで止める局面なのですが、日本はそれができませんでした」

 リトバルスキー氏は運命を分けた場面をこう振り返った。日本の左CKのチャンスでキッカーはMF本田圭佑。ショートコーナーに対応しようとMF香川真司が近寄ったが、本田はすぐさまボールを蹴り込むと、GKクルトワにキャッチされてしまった。ベルギーはここからが速かった。

 クルトワからボールを受けたMFデブライネはセンターサークル付近まで快足を飛ばすと、右サイドの裏のスペースに走り込んだDFムニエに展開。ムニエが鋭いクロスをゴール前に入れ、FWルカクがスルーした背後でMFシャドリが左足で蹴り込んだ。この間わずか「9秒35」という、まさに電光石火の速攻だった。

 この場面、日本は数的不利だった。リトバルスキー氏はアンカー役として投入されたMF山口蛍ら守備陣にはデブライネをファウルで止めるという選択肢があったと強調。絶対に失点してはいけない場面でイエローカード覚悟の“プロフェッショナルファウル”はブラジル、ドイツなど強豪国なら当然のプレー。セリエAなどでは相手をファウルで止めることが慣習となっている。ベルギーの速攻は追いつけないほど速かったという面はあるが、日本代表はファウルで止めるという手段を選ぶことができなかった。

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ピエール・リトバルスキー

ブンデスリーガ強豪ヴォルフスブルクのスカウト部長。現役時代は天才ドリブラーとして活躍。西ドイツ代表メンバーとして1990年ワールドカップイタリア大会優勝、82年スペイン大会、86年メキシコ大会ではそれぞれ準優勝に貢献している。ブンデスリーガ1FCケルンで活躍後、1993年からJリーグJEFユナイテッド市原(現J2ジェフ千葉)で、96年からブランメル仙台(現ベガルタ仙台)でそれぞれ2シーズンプレーした。監督として横浜FC、アビスパ福岡、シドニーFCで指揮を執った。ドイツ語の他、英語、フランス語、日本語も堪能なマルチリンガル。

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