「重く、苦い」アジア杯4強敗退 永里亜紗乃、なでしこジャパンに問いたい覚悟と責任
インドで開催されているサッカーの2022 AFC女子アジアカップは現地時間3日、日本代表が準決勝・中国戦に臨んだ。2-2の同点のままPK戦に突入。3-4で敗れ、大会3連覇の夢は潰えた。元日本代表FWで2015年ワールドカップ(W杯)カナダ大会準優勝メンバーの解説者・永里亜紗乃さんはこの試合をどう見たのか、ベスト4で敗退した今大会の総括を含めて解説してもらった。
準決勝・中国戦は植木理子が2ゴールも…延長&PKの末に3連覇ならず
インドで開催されているサッカーの2022 AFC女子アジアカップは現地時間3日、日本代表が準決勝・中国戦に臨んだ。2-2の同点のままPK戦に突入。3-4で敗れ、大会3連覇の夢は潰えた。元日本代表FWで2015年ワールドカップ(W杯)カナダ大会準優勝メンバーの解説者・永里亜紗乃さんはこの試合をどう見たのか、ベスト4で敗退した今大会の総括を含めて解説してもらった。
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残念という感情以上に、空虚感に苛まれるアジアカップ終戦でした。
準決勝で対戦した中国はもちろん格下で、実際に戦ってみても決してレベルの高いチームではなかったと思います。スコア推移こそ日本がリードして追いつかれて、というのを2度繰り返した末の延長戦とPKでした。ただ内容としては接戦ではなかったので「惜しかった」という表現も間違っています。
強いて中国が上回っていた点を挙げるとすれば、戦術やゲームプランの部分でしょうか。前半の中国は攻守ともにアグレッシブさに欠けている印象でしたが、反対に言えば冷静に戦っている様子にも映りました。日本に先制されてもそういった姿勢が変わらなかったところを見ると、戦前から描いていたプラン通りの戦い方だったのでしょう。
そして後半に入り、意図的にギアを上げてきました。しかも後半立ち上がりに同点に追ついたことで、自信も取り戻せました。個々のレベルやグループ戦術は日本のほうが上ですが、いわゆる“自分たちらしい戦い”をしていたのは中国だったと思います。
そういった展開で疑問に感じたのは岩渕真奈選手を交代させたタイミングです。体力的に厳しくなっていたようには見えませんでしたし、左サイドで機能していた宮澤ひなた選手のポジションを変えたことで攻撃のリズムも狂ってしまった。岩渕選手は大会前のアクシデントの影響でコンディションが100%ではなかったのかもしれませんが、追いつかれたとはいえ切迫した流れでもありませんでした。試合前から決めていた交代策だとしたら、あまりにも柔軟性を欠いていると言わざるをえません。
延長後半に高橋はな選手を投入した采配も、結果的に裏目に出ました。最後の失点シーンは5バックにした弊害なのか、マークが曖昧になってフリーの選手を作ってしまった。ディフェンスラインを押し上げられず、守備の人数は足りていたのに守り切ることもできない。練習でどれだけ試していたプランなのかは分かりませんが、なんとなくの戦い方を選択した印象しか残りませんでした。