“控えGK”のメンタル術 元日本代表が語る心構えとチームにもたらす影響
サッカーの世界において、GKは特殊なポジションだ。フィールドに立つ11人の中で唯一手を使える選手であり、自陣ゴール前に陣取りながら相手が繰り出してくる様々な攻撃を“最後の番人”としてはね返していく。
東京VのGKコーチ土肥氏が語る“三番手”の使命と美学
サッカーの世界において、GKは特殊なポジションだ。フィールドに立つ11人の中で唯一手を使える選手であり、自陣ゴール前に陣取りながら相手が繰り出してくる様々な攻撃を“最後の番人”としてはね返していく。
技術だけでなく、ゲームの流れを読むための経験や精神面の充実が欠かせない彼らは、わずか1つのポジションを巡って、日頃からチーム内で熾烈なレギュラー争いを繰り広げている。フィールドプレーヤーであれば「10人」がレギュラーとして出場可能で、複数ポジションをこなすマルチな才能を発揮したり、負傷者が出た場合などの緊急時に本職ではない位置にコンバートされてプレーすることもあるが、専門性の高いGKではそうした例はプロの世界ではほとんどない。
つまりGKはGKとして生き、たった1つのポジションを勝ち取るしかないが、チームを率る監督としては失点に直結するポジションだけに、一度レギュラーの選手を決めると、守備陣との連携構築も考慮して固定する傾向が強くなっている。GKの序列が崩れる時――それはチームが連敗などを喫して状況の変化が必要になった時、もしくはレギュラーGKが故障や累積警告などのアクシデントで離脱を余儀なくされた時など、チームにとってネガティブなアクシデントによるものが多い。
自らのモチベーションを保ちながら、チームの和を乱さずに、いかにしてわずか1つのレギュラーポジションの獲得を目指していくのか。この難しいミッションを乗り越える方法論を、クラブでは正守護神の座を守りながら、日本代表では「第3GK」という立場を経験した土肥洋一氏が答えてくれた。メンタル面における現実との向き合い方は、多くのサッカー少年はもちろん、ビジネスマンが組織の中で直面する難問の答えにも重なるはずだ。