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「文句を言ったら泣き出した」 外国人GKが30年前の日本で感じたミスを指摘しない習慣

ミスを指摘したDFには「自信を持って、文句を言い返して欲しかった」

 マツダに来た当初、ディドから文句を言われたあるDFは「僕のことが嫌いなんだ」と泣き出してしまったという。

「僕は彼に自信を持って、文句を言い返して欲しかった。互いに悪いことを言い合って、チームが良くなっていけばいい。ゲームの流れを読む力を含めて、まだ日本のサッカーは赤ちゃんみたいでしたね」

 だが、そんなディドも1年後に帰国してみると、安全な日本の生活に慣れてしまったせいか、逆に生まれ育ったオランダの環境が怖くなってしまったそうである。

 実は1989年に、ディドには大きなチャンスが訪れた。前のシーズンに欧州制覇をした母国の名門PSVからのオファーだった。しかし、マツダとの移籍交渉がまとまらずに断念。やがてディドは日本国籍を取得し、息子のマイクも日本代表を選択するのだった。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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