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“筋肥大の呪い”にかかってませんか 「週3で鍛える」の義務感に駆られ、陥る不安

「筋トレを少し休んでも結果に大きな変化がない」というエビデンスも

 トレーニング科学の専門家であり、ボディビルダーとしてもご活躍された東京大学大学院教授の石井直方先生の研究グループによると、6か月(24週間)、休みなく筋トレを続けたグループと、6週間ごとに3週も筋トレを休みながら進めたグループを比較しても、筋肉量の伸び率は変わらなかったという結果もあります。

 今はコンスタントにジム通いできていないから不安に駆られていると思いますが、このように筋トレを少し休んで減らしても、得られる結果には大きな変化がないとするエビデンスもあります。そもそも、筋トレにとらわれすぎている人は往々にしてやりすぎている傾向があるので、ちょっとぐらい頻度が減っても、急に筋肉がなくなるわけがないのです。大丈夫です。
 
 私は今年、大会に出ない、と決めたことで、筋肥大の呪いから目が覚めました。以前を振り返ると、冷静に自分を分析して必要なトレーニングをあぶり出すことができておらず、ジムに行ってもいいトレーニングができていなかったな、思うような成長ができるわけがないよな、と思います。視野が狭くなり、客観視できなくなっていたんだと思います。

 今は、本来の目的である「イイ体になること」よりも、その手段である「週3で鍛えること」に義務感を感じ、それが目的に入れ替わってしまっているのだと思います。しかし、世の中にはジムに行かずとも、イイ体をキープしている人はいくらでもいますし、ジムに行くことだけが体を鍛える方法ではありません。いつも言うことですが、トレーニングを頑張ろうと思うならば、場所はどこでもいいし、できることをやればいい。

 腹筋・腕立て・スクワットのようなどこでもできる種目を限界までやりこむことに挑戦する、あるいはトレーニングの動きを精密にコントロールすることで細かい筋肉を鍛えていく(そうしたトレーニングでは高重量はかけられないのでご自宅でもかなりできます)など、生活に負担がかかりすぎない範囲で、できることを継続すればいいんです。

 忙しい時期は「ジムに行けたらラッキー」、行けないなら行けないで、「ジムでできないことができるからラッキー」と思うようにしましょう。そのぐらいおおらかな気持ちでトレーニングに取り組む方が、精神的負担を減らすことで長期間無理なく続ける事ができます。大きな成果を出すためにはこれが大切です。また、仕事や人間関係も今よりももっとうまくいきますから、人生をトータルで楽しめますよ。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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岡田 隆

1980年、愛知県生まれ。日体大准教授、柔道全日本男子チーム体力強化部門長、理学療法士。16年リオデジャネイロ五輪では、柔道7階級のメダル制覇に貢献。大学で教鞭を執りつつ、骨格筋評論家として「バズーカ岡田」の異名でテレビ、雑誌などメディアでも活躍。トレーニング科学からボディメーク、健康、ダイエットなど幅広いテーマで情報を発信する。また、現役ボディビルダーでもあり、2016年に日本社会人ボディビル選手権大会で優勝。「つけたいところに最速で筋肉をつける技術」「HIIT 体脂肪が落ちる最強トレーニング」(ともにサンマーク出版)他、著書多数。バズーカ岡田公式サイトhttps://bazooka-okada.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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