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「お腹が凹む」「痩せる」は誤解? 独り歩きする“体幹トレの知識”を正しく解説

“本当に体に効く”体幹トレーニングの最初のステップとは

 これだけ動きが違うのですから、体幹トレーニングの構成の仕方も違って当然。ですから、例えば長距離選手がサッカー選手の体幹トレーニングの順序を真似するのは、上腕二頭筋を鍛えたいのに脚から先に鍛えるのと同じくらいに、ちぐはぐなことなのです。

 実は2014年に、初めて青山学院大学陸上部(長距離ブロック)の指導にあたった当時、選手たちはプランクやシットアップなどの、一般的に知られているお腹周りの種目を補強トレーニングとして導入していました。しかし、彼らの体幹トレーニングはサッカー選手のためのメニューを参考にしていたため、長距離ランナーにあった構成内容や順序で組まれたものではありませんでした。

 長距離走ではエネルギーを余計に消耗しないよう、上下左右の体のブレをできるだけ抑えることが重要です。となると、青学大の選手に必要だったのは主にインナーユニットを優先的に働かせたまま、1区間20mを走りきる体幹を作るトレーニング。これを一からやり直したことで、体幹を使って1kmも走れなかった選手たちが、5km、10kmと走れるようになり、「走りが安定した」「スピードが上がった」など、ポジティブな変化を実感できるようになりました。

 体幹トレーニングはトップアスリートだけでなく、「もっとうまくなりたい」と願う、週末スポーツを楽しむビジネスパーソンにも、もちろん有効です。しかも、体幹が弱点だった人ほど、トレーニング効果も得られやすい。「体幹トレーニングをやってはいるがどうも成果を感じない」という人は、やみくもに「プランク」や「シットアップ」を続けるのではなく、まずは競技に合った構成内容かどうかを見直しましょう。それが“本当に体に効く”体幹トレーニングの最初のステップです。

 ◆新刊発売 オリンピック選手や青学大駅伝チームなどのトップアスリートから一般のお子さんや高齢者までを指導する中野ジェームズ修一氏が、多くの人が見落としている体幹の使い方をわかりやすく紹介した著書『世界一効く体幹トレーニング』(https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4763137611/toyokeizaia-22)。体の深部にある筋肉をどう使うかなどが、よくわかる動画が見られるQRコードつき。

『世界一効く体幹トレーニング』(サンマーク出版)定価=本体1300円+税

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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中野ジェームズ修一

スポーツトレーナー

1971年、長野県生まれ。フィジカルトレーナー。米国スポーツ医学会認定運動生理学士(ACSM/EP-C)。日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナー。「理論的かつ結果を出すトレーナー」として、卓球・福原愛、バドミントン・藤井瑞希らの現役時代を支えたほか、プロランナー神野大地、トランポリン競技選手など、多くのトップアスリートから信頼を集める。2014年以降、青山学院大駅伝チームのフィジカル強化指導を担当。東京・神楽坂に自身が技術責任者を務める会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」がある。主な著書に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)、『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)などベストセラー多数。

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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