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部活の「腹筋トレ」に一石? “あの練習法”は10回でも効果を得られる

スポーツ選手に限らず、筋トレの一つとして定着しているのが、腹筋運動。なかでも、仰向けの姿勢から上体を起こす「シットアップ」と呼ばれる練習法は、日本の部活でも当たり前のように取り入れられているが、やり方を間違えると腰痛など故障のリスクもあるという。フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一氏がスポーツトレーニングの舞台裏を語る連載。今回は「正しい腹筋運動」について、卓球の福原愛、バドミントンの藤井瑞希など日本を代表するアスリートの個人指導経験を持つ同氏に聞いた。

適切な回数ならば効果のある筋トレも、やりすぎれば故障につながると中野氏【写真:Getty Images】
適切な回数ならば効果のある筋トレも、やりすぎれば故障につながると中野氏【写真:Getty Images】

仰向けから上体を起こす「シットアップ」は間違えると腰痛の原因に

 スポーツ選手に限らず、筋トレの一つとして定着しているのが、腹筋運動。なかでも、仰向けの姿勢から上体を起こす「シットアップ」と呼ばれる練習法は、日本の部活でも当たり前のように取り入れられているが、やり方を間違えると腰痛など故障のリスクもあるという。フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一氏がスポーツトレーニングの舞台裏を語る連載。今回は「正しい腹筋運動」について、卓球の福原愛、バドミントンの藤井瑞希など日本を代表するアスリートの個人指導経験を持つ同氏に聞いた。

 ◇ ◇ ◇

 昨年末、「腹筋運動は腰痛の原因となるので推奨できない」というニュースが流れました。これはカナダの大学での研究結果を元に、日本バスケットボール協会が指導者養成の場で「仰向けの姿勢から上体を起こす腹筋運動(以下、シットアップ)」のリスクを周知させているという内容でした。

 私はこれを昔から続く部活ならではの鍛え方に一石を投じるニュースだと感じました。適切な回数ならば効果のある筋トレも、やりすぎれば故障につながります。何故なら、同じ動作を繰り返すと、同じ関節に負荷もかかるからです。シットアップは正しく行えば、10回、20回で効果を得られます。しかし何百回もやれば、人体の構造上、腰痛のリスクは高まります。

 シットアップで鍛えられるのは、ろっ骨から恥骨につながる筋肉、腹直筋です。腹直筋はテニスやバレーボールなどでみられる、振りかぶってから前に腕を振り下ろす動作で働きます。もっとも力を発揮するのは体を反らせた瞬間。バレーボールでは弓なりに反った体勢から強烈なスパイクを繰り出しますが、体が後ろに倒れ過ぎないよう、腹直筋が前で引っ張っているからこそできるプレーです。

 一方で、腹直筋だけを鍛えすぎるとデメリットも生じます。例えば腹直筋が強すぎると恥骨が上に引っ張られるので、骨盤が後傾し、腰が落ちます。すると、バネの役割を担っていた腰椎のカーブがフラットになり、歩行時や走行時に地面から足に伝わる衝撃を体が吸収しきれなくなる。その結果、腰に大きな負担がかかります。

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中野ジェームズ修一

スポーツトレーナー

1971年、長野県生まれ。フィジカルトレーナー。米国スポーツ医学会認定運動生理学士(ACSM/EP-C)。日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナー。「理論的かつ結果を出すトレーナー」として、卓球・福原愛、バドミントン・藤井瑞希らの現役時代を支えたほか、プロランナー神野大地、トランポリン競技選手など、多くのトップアスリートから信頼を集める。2014年以降、青山学院大駅伝チームのフィジカル強化指導を担当。東京・神楽坂に自身が技術責任者を務める会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」がある。主な著書に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)、『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)などベストセラー多数。

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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