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「凡人が天才を討つ」 クライミング藤井快、若手中心の世界に待ったをかける経験値

競技に対する意識・行動の変化について語った藤井快【写真:松橋晶子】
競技に対する意識・行動の変化について語った藤井快【写真:松橋晶子】

会社員クライマーの経験を生かし、メリハリ重視でレベルアップ

 最近は回復力の衰えを感じるようにもなったのが正直なところ。「疲れていることを自分で感じられない。でも、実際は疲れていることもある」。5月の複合ジャパンカップでは最年長だった。下は大学生が多い。連日の試合でも疲れ知らずで登り続ける当時の自分の姿が蘇った。

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「やればやるほどついてくる時だった。そういう意味では4年前の自分と今の自分は別だし、今できて昔できなかったことはたくさんあるけど、昔あって今ないものもある。それをしっかり認めないと次には進めないと感じさせられる大会だった」

 今まで休日もクライミングのことを考え、「アクティブに休もう」とランニングすることが日常。運動量を軽めに抑えておくのが「休み」の定義で、何もしなければ罪悪感を抱いていた。しかし、大会で若手のフレッシュな姿を目の当たりにしたことで意識が変化。今は「休むって決めたら休む。今は徹底しています。年齢に応じた練習方法が必要で、時間も長ければいいわけでもない。それは今の僕の年じゃないとできない」と語る。

「やることがなくて困っている。何をやればいいかわからない」と苦笑いするが、2学年上の妻と出かけて心身ともにリフレッシュ。散歩や映画でクライミングを忘れることも、自分なりの新しい“努力”だ。

 時間のやりくりに生きる経験がある。中京大卒業後は、都内のクライミングジム「B-PUMP」のスタッフとして勤務しながら競技を続ける会社員クライマー。東京五輪に向けて本腰を入れることもあり、昨年から勤務時間を減らしてもらうようになったが、長い時は朝から晩まで受付やレッスンを受け持つこともあった。

 多忙な中で学んだことがメリハリ。勤務日は「本当に仕事しかしていない時があった」というほど集中し、練習のある日はちょっとした隙間の時間もレベルアップに励んだ。「疲れをだませていた時期もあったけど、もうだませなくなってきた。それが命取りになった瞬間もあった」と失敗を繰り返した26歳。“一点集中”の意識が今の休みにも繋がっている。

 17年3月に結婚後、妻が鍼灸師の資格を取得したのも夫のサポートのため。国内の大会に同行し、ケアを受けられる。スピード、ボルダリング、リードの3種目を合わせた複合で実施される東京五輪に「1種目だけならまだよかったけど、単純に3倍時間がかかる。僕はこの東京が最初で最後。そうなると、今しかない」と夫婦二人三脚で競技と向き合っている。

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