[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

閉塞感ある今をどう生きるのか ゴールボール女子日本代表3選手に見るヒント

ゴールボール日本代表の3人、小宮正江、浦田理恵、欠端瑛子の3選手は、底抜けに明るい。3人揃った鈴の音のような笑い声とともに咲く満開の笑顔は、周りの空気を1トーン明るく照らす。3人の息がピッタリだったのは、ジャパンパラ競技大会で1年ぶりの実戦を終えた影響だったのかもしれないが、ゴールボールという競技が持つ特性もまた、その理由の一つだったに違いない。

ゴールボール日本代表の浦田理恵(左)と欠端瑛子【写真:Getty Images】
ゴールボール日本代表の浦田理恵(左)と欠端瑛子【写真:Getty Images】

小宮、浦田、欠端が咲かせる満開の笑顔に隠された「強さ」と「優しさ」

 ゴールボール日本代表の3人、小宮正江、浦田理恵、欠端瑛子の3選手は、底抜けに明るい。3人揃った鈴の音のような笑い声とともに咲く満開の笑顔は、周りの空気を1トーン明るく照らす。3人の息がピッタリだったのは、ジャパンパラ競技大会で1年ぶりの実戦を終えた影響だったのかもしれないが、ゴールボールという競技が持つ特性もまた、その理由の一つだったに違いない。

【特集】「音」が握る勝負の鍵 静寂から生まれる熱い攻防・ゴールボールの魅力とは / ゴールボール女子日本代表インタビュー(GROWINGへ)

 パラリンピック競技でもあるゴールボールは、全盲から弱視まで視覚障がいを持つ人を対象とした球技だ。競技の公平性を保つため、選手は全員アイシェード(目隠し)を着用し、全く視覚がない状態でプレーする。バレーボールと同サイズのコート両端には9メートルのゴールが用意され、2チーム(各3人)が鈴の入ったボールを転がして相手ゴールを狙う競技。前後半12分ずつで、どちらが多くゴールを決めたかで勝敗を競う。

 視覚が遮られた選手たちにとって、頼りになるのは「音」だ。プレーが始まれば、観客は物音を立ててはいけないルール。ピンと張り詰めた静寂の中、選手はボールに入った鈴の音、相手選手の足音や衣擦れの音、息づかいなどから、瞬時にボールの現在地を探り、体を動かす。攻撃から防御、防御から攻撃と素速く切り替え、ボールに対して間髪入れずに反応する姿から、とても目隠しをした状況だとは想像できない。

 見えないからこそ、勝敗の鍵を握るのはチーム内での連携だ。今どういう状況にあるのか、次は何が予想されるのか。コート上に立つ3人とベンチに控えるメンバーは声を掛け合いながら、頭の中に思い描くイメージをシンクロさせる。ここで求められるのが、コミュニケーション能力だ。

 どんな言葉やどんな表現を使えば、仲間に分かりやすく伝わるのか。また、どのタイミングでどんな声掛けをすれば、より効果的なのか。もし自分だったら、どう伝えてほしいだろう……。

「見えないからこそ、言葉に出さないと。頷いても誰も気付いてくれません。『自分がボールを持っているよ』って言葉にしないと、仲間にすら分かってもらえない。コミュニケーションを育むという意味で、すごく魅力的な競技だと思います」(浦田)

 ゴールボールが育むコミュニケーションは、自然と他人に優しい種類のものになるのかもしれない。

「ゴールボールって誰か1人が強いから勝てるわけじゃなくて、いろいろな人たちの力が合わさった時、本当に勝利をつかみ取ることができる。一人ひとりの輪を繋げていくことが大事」という小宮の言葉が、競技の真髄を突いているのだろう。

1 2
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
UNIVAS
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集