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東京五輪まで3か月 ラグビー7人制男子代表、メダル獲得へ乗り越えるべき2つの課題

五輪メンバー12人はどう選考していくのか?

 そして、限られた時間でより多くの大会に出場してチームを磨き上げることも必要だろう。今後の強化について、同HCは「5月、6月それから7月と2か月半から3か月くらい時間があるが、チームとしては当然もう少し国際経験を積みたいと思っている。それは日本が世界に出て行ってやるのか、あるいは国内に呼んでやるのかというオプションがある。一方で、出来ないことも視野に入れて計画はしている」と3つの可能性を踏まえながら強化の最終段階を準備している。

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 チーム強化と同時に気になるのは、五輪メンバーをどう選考していくかだ。同HCは、現時点でのセレクションについても語っている。

「選手には、アピールできる局面はかなり少なくなっているという話は、直接私の方からもしています。そして今回の大会では、参加メンバーについては公平に機会を与えるということも話をしました。その結果、メンバー構成も誰がベストメンバーということではなく、ある程度、いろいろなポジションを想定し、いろいろなコンビネ―ションを想定しながら、全員を使っていくということで進めました。この先へ向けては、当然オリンピックへ向けたチーム作りということになってくるので、メンバーを固めていく時期になる。日本に残っているメンバーも当然いるので、それぞれがアピールできる時間は本当に限りなく少なっていくと考えている」

 おそらく、今回のドバイでの大会を終えた時点で岩渕HCの中では、12人の五輪メンバーの顔触れはほぼ固まっているのだろう。これからの合宿や、新たな国際大会参加のチャンスがあれば、従来以上にメンバーを絞り込み、選手強化よりも戦術の熟成にフォーカスを当てていくことになりそうだ。そして、指揮官は五輪代表に求められる欠かせない資質についても触れている。

「様々なポイントから見ますが、選手たちも(今回の)大会の中で、やはり勝ちたいと思っているほうが最後は勝つんだと話してくれていた。やはり、誰がオリンピックに一番出たいと思い、誰が前に出て(チームを)リ―ドするんだという強い気持ちを持っているのか。当然ラグビーのスキルやいろいろな部分も必要ですが、その部分が最後に出せるかどうか、それがチームとして12人が揃った時に、力が一番発揮できると思う。そういったところを選手たちには、貴重な機会の中で出してほしいと思っています」

 スキル、戦術という前提の下で、どれだけ勝ちたいという気持ちを持ち続けることが出来るかが、五輪という舞台では勝負を左右すると指揮官は考えている。バックアップメンバーなどを考えると、即座に強化メンバーを減らすことは現実的ではないが、スコッド内での水面下の絞り込みは進められ、強いメンタルタフネスを持った12人が、真夏の東京スタジアムのピッチに立つことになる。

 キックオフまでに残された3か月という時間は決して長くはない。ドバイでの貴重な経験で露わになった課題を修整して、チームをメダル圏内へと加速させる時間との戦いが正念場を迎えようとしている。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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