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【今、伝えたいこと】 資格取得22種 元ショートトラック勅使川原郁恵が「0.001秒の世界」で培った健康哲学

コロナ禍で考えるきっかけになった「親子のコミュニケーション」

 もう一つ、コロナ禍で考えるきっかけとなったのが、親子のコミュニケーションだ。

 主に乳幼児の心と体の健やかな育成をサポートするナチュラルボディバランス協会を立ち上げ、代表を務める勅使川原さん。自身も夫と子供2人の家族4人で暮らし、子育てに奮闘中だ。大切にしているのはスキンシップ。

 もともと明るく活発な性格ではあるが、コミュニケーション方法もまっすぐだ。

「おうちの運動も一緒にやろう、考えようと促すのはふれあいのため。ふれあいを作ることで親子の信頼感が増す。そうすると子供が愛情を感じられ、親への安心感が得られる。あとは寝る前に子供を全身マッサージしながら『大好きだよ~』と感情を伝えると、すーっと寝ていく。『僕も大好き』なんて言いながら(笑)。子供の心理的にもいいんじゃないかと、特に意識しています」

 当たり前のようでも、つい疎かになってしまう愛情表現で親子の絆を育んできた。コロナ禍以前は夫婦そろって休みが取れた日には必ず外に出かけ、子供を思い切り体を動かして遊ばせきてた。そこに親も一緒に加わる。

「家族全員で体を動かしている。すごく元気な家庭かなと思います」と笑った。

「今はいろんな体験をさせる。ちょっとした危ないと思うことも、自由にさせることをすごく心がけています。親が『あれをしなさい、こうしなさい』じゃなく、子供が『何がしたい、あそこに行きたい』に沿って、一緒に挑戦をすることもある。もちろん、スポーツを習わせることもある。サッカーを今はやっていて、水泳も過去にやっていた。それも私が一緒にプールに行って、泳ぎを教えたり、ボールを持っていて公園で遊んだり、親子で一緒にやっています」

 徹底しているのは「押し付けない」。自身は大学まで経て、オリンピックに出場したアスリートだが、子供には必ず大学に出てほしいとか、スポーツで一流になってほしいとか、そういう思いは「全然ない」という。

「自由に生きてほしい。親の思い通りではなく、子供の思う人生を歩んでほしい。なので『子供』じゃなく、一人の『人間』『個人』として尊重してあげたい。押しつけではなく、柔軟に対応できる子に育ってほしい。ということは親が柔軟な対応をしないといけない。とにかくいろんなことに挑戦させて、海外に行きたいというなら『いってらっしゃーい』と送り出してあげられれば」

 こうした価値観は自身の体験に基づいている。「あんな風に滑りたい」と2人の姉の背中を追いかけるようにして、3歳から始めたスケート。決して“スポ根マンガ”に出てくるような家庭ではなかった。

「本当に自分がやりたいことをやらせてもらった感じ。スケートは本当に好きだったので、とことんやらせてもらった。両親から言われたのは『スケート、好きか?』ということだけ。『嫌い』と言うなら、すぐに辞めさせようと思っていたみたい。でも、結局、私が好きで長続きしたので、結果を出すことにつながったのかなと思います。

『スケートをやれやれ、絶対休むな』ということはなく、ごく普通の家庭で『練習、一緒に行こう』というだけ。親が連れていってくれた後、私は勝手に一生懸命、練習をやっている。親にガミガミ言われなかったことが私にとっては良かった。自分で判断する、自分でやりたいものやる。それは自分の中で考えることができて、すごく感謝をしています」

 ヘルスケアのスペシャリストとして、一人の母として日々奮闘している勅使川原さん。「健康」と「子育て」の両輪で講演活動など、活躍の場を広げている。今後に向けた思いも熱い。

「健康の基本になるスポーツとの関わりで大切になるのが子供の0~6歳の環境。その期間に運動能力の基礎ができるので、その年代の教育環境を整えることに貢献していきたい。親が子育てを学ぶ場所も大事。お母さんは子どもを生んだらママ1年生。今は携帯で情報も出てきますが、実際に人と人がコミュニケーションを取り、触れ合うことで学べることの方が多い。親子で学べる場所をどんどん作っていきたいと思っています」

■勅使川原 郁恵(てしがわら・いくえ)

 1978年10月27日生まれ、岐阜県出身。3歳からスケートを始め、中2で全日本選手権総合優勝、高1から5連覇を達成した。五輪は98年長野から3大会連続出場。06年トリノを最後に引退後はスポーツキャスターに転身。NHK BS「街道てくてく旅」に出演し、中山道・甲州街道完全踏破。07年から3年間、日本ウォーキング協会親善大使を務めた。現在は「健康」と「子育て」を軸に活動中。ナチュラルボディバランス協会代表としてYouTubeで動画も発信している。

(第23回は元女子マラソンの千葉真子さんが登場)

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

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