[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

【今、伝えたいこと】「夢がない」女子高生はゴルフで変われた 笹原優美が表現する「社会貢献」のカタチ

新型コロナウイルス感染拡大により、スポーツ界はいまだかつてない困難に直面している。試合、大会などのイベントが軒並み延期、中止に。ファンは“ライブスポーツ”を楽しむことができず、アスリートは自らを最も表現できる場所を失った。

昨シーズンから戦いの場を中国に移した笹原優美さん
昨シーズンから戦いの場を中国に移した笹原優美さん

連載「Voice――今、伝えたいこと」第18回、ツアー再開を待つ女子ゴルファーの思い

 新型コロナウイルス感染拡大により、スポーツ界はいまだかつてない困難に直面している。試合、大会などのイベントが軒並み延期、中止に。ファンは“ライブスポーツ”を楽しむことができず、アスリートは自らを最も表現できる場所を失った。

 日本全体が苦境に立たされる今、スポーツ界に生きる者は何を思い、現実とどう向き合っているのか。「THE ANSWER」は連載「Voice――今、伝えたいこと」を始動。各競技の現役選手、OB、指導者らが競技を代表し、それぞれの立場から今、世の中に伝えたい“声”を届ける。

 第18回は女子プロゴルフの笹原優美(フリー)。昨年から中国ツアーに出場し、今年は台湾ツアーも参戦予定だったが、感染症拡大により、軒並み中止に。両ツアーともに再開の見通しが立たず。賞金が収入に直結する女子ゴルファーの思いとは。

 ◇ ◇ ◇

 スポーツ界に暗い影を落とした新型コロナウイルス。ゴルフは男女ともに国内ツアーは軒並み中止となり、3月に予定されていた開幕の見通しも立っていない。競技結果でアスリートとしての価値をアピールするだけでなく、大会で得た賞金が収入に直結するプロゴルファーにとって“ツアーなきゴルフ”は死活問題となっている。

 それでも、一人のゴルファーとして今、思うことを口にした笹原優美の声色に、暗さは少しも感じられない。

「まず、今回の問題はゴルフ界だけじゃなく、日本中でいろんな職業の方が苦しんでいらっしゃる状況。仕事に必要なトレーニング、練習ができる環境が奪われていないだけで、恵まれていると思っています」。社会を俯瞰し、自らの職業が置かれた立場を見つめる27歳。その中で「職業・ゴルフ選手」の課題も見えてきたという。

「今回のことで、自分の仕事は“戦う場所”がなければ成立しなくなってしまうと改めて気づかされました。今後、このようなことが100%起こらないとは言い切れない。ウイルスだけじゃなく、天災もあり得る。試合がないと成り立たないのは問題と感じているし、これはゴルフ界全体で変えていかないといけないと思っています」

 未曾有の感染症。練習環境も大きく変わった。ラウンドに出るのは週1度。ハーフ終了後に休憩を取らないスループレーで、スタートも早朝。「かからない、うつさない」を徹底し、残りは自宅で行っている。通常、練習用の柔らかいボールしか打てなかった部屋にネットと毛布を張り、試合用のボールを打てるように改造。工夫をしながら、再開に向けて準備を整えている。

 ただ、自分が練習できているから満足とは、もちろん思っていない。ゴルフ界を憂う気持ちが心の真ん中にある。

「一番に思うのは選手よりキャディーさんの方が大変ということ。プロのツアーに出ている選手であれば、今までの蓄えもある程度あると思うし、今は遠征費もかからない分、なんとかなるとは思います。ただ、キャディーさんは選手の活躍によって収入が変わるし、今は仕事がない。相当、大変な状況になっていると感じています」

 実際にSNSを開いてみると、キャディーたちが協力してYouTubeチャンネルを立ち上げたり、ゴルフ以外のアルバイトを始めたりする現実を目の当たりにした。「これが続くと厳しいんじゃないかと感じます」と、心を痛めている。

「このような状況になるのは誰も想像してなかったと思います。これからやらなければいけないのは、また同じような状況になった時に自分たちの仕事が成立し、活動できる状態を準備しておくこと。それが大事になると思うので、みんながそういう意識を持ちながら、今はできることに集中して乗り越えるしかないと思っています」

 個人スポーツであるゴルフ界が一つになって、今を戦いたい。それが、一人の選手として偽らざる思いだ。

1 2 3
インハイTV
スポーツ応援サイトGROWING by スポーツくじ(toto・BIG)
「DAZN」はプロ野球ライブ中継&見逃し配信
NIPPONを走ろう。
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集