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NZ代表最終戦で幻のハットトリック 33歳スミス、所狭しと躍動も「今が前進すべき時」

ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は1日、東京スタジアムで3位決定戦が行われ、ニュージーランドは40-17でウェールズを下し、3位となった。今大会限りでの代表引退を表明し、これが代表最終戦だったWTBベン・スミスは先発出場。80分間を戦い抜く中で、幻のハットトリックを演じるなど躍動したが、「今こそ前進すべき時。ゆっくりと座って、オールブラックスの試合を見るのが楽しみだ」と代表通算84キャップの輝かしいキャリアに終止符を打った。

試合後、スミスは子供2人とともにピッチを楽しんだ【写真:石倉愛子】
試合後、スミスは子供2人とともにピッチを楽しんだ【写真:石倉愛子】

最後の試合を終えても消えぬ闘争心「このメダルを狙っていたわけじゃない」

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は1日、東京スタジアムで3位決定戦が行われ、ニュージーランドは40-17でウェールズを下し、3位となった。今大会限りでの代表引退を表明し、これが代表最終戦だったWTBベン・スミスは先発出場。80分間を戦い抜く中で、幻のハットトリックを演じるなど躍動したが、「今こそ前進すべき時。ゆっくりと座って、オールブラックスの試合を見るのが楽しみだ」と代表通算84キャップの輝かしいキャリアに終止符を打った。


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 この日が代表最終戦とは思えないほど、33歳WTBは所狭しとグラウンドを駆け巡った。最初のトライは、ウェールズに14-10と4点差に迫られた直後の33分だった。敵陣ゴール手前5メートル付近でのラックから出したボールを受けると、華麗なステップで相手DFを一人二人とヒラリとかわし、最後は相手を引きずりながらゴールエリアに飛び込んだ。さらに、前半終了間際にも敵陣22メートル付近でのラックから右サイドライン付近でパスを受けると、追いすがるDFをハンドオフで止めてトライ。ウェールズに傾き掛けた流れを、ベテランががっちり引き戻した。

 幻のトライとなったのは、後半47分だ。後半開始早々にCTBライアン・クロティがトライを決めて35-10としたオールブラックスは、敵陣深くまで攻め込むと再びスミスが相手DFをハンドオフでかわしてトライ。W杯史上3位決定戦では初のハットトリック達成かと思われたが、TMOの結果、直前にスローフォワードの反則があったとしてノートライとなってしまった。

 今大会は4試合に出場したが、リザーブだったりノンメンバーだったり、個人的な観点から言えば、決して満足な調整ができたわけではない。それでも「時にはラグビーとはこういうもの。置かれた状況がすべて」とチームの勝利のために献身した。キレのあるステップ、相手ディフェンスに隙を見つける鋭い嗅覚を見せつけた33歳に、SOモウンガは「ベンダー(スミスの愛称)やクロティが今日見せたパフォーマンスは最高だった。だって、彼らがメンバーに選ばれなかった時でも下を向かずに前を見続けた姿を知っているから」と感慨深げな表情を浮かべた。

 スミス本人は代表最後の試合を終え「間違いなく悲しい気持ちがする」と話したが、やはり心残りは今大会で優勝を逃したことのよう。「メダルを首から下げるのは本当に気分がいい。ただ、このメダルを狙っていたわけじゃないんだけど」と、代表最終戦を終えても闘争心は消えないままだった。

 ニュージーランドのハイランダーズでは、日本のSH田中史朗と同僚だったことがある。「フミは仲のいい友達だ。日本がこれだけ成功しているのも、彼の功績は大きいと思う」と話すが、次回の2023年フランス大会は二人揃ってラグビー観戦を楽しむチャンスも巡ってくるかもしれない。

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)




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