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フルタイムの会社員にビジネス専攻の大学生 “小国”ナミビアが観衆を惹きつけた理由

ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は22日、大会3日目を迎え、大阪・花園ラグビー場ではプールBのイタリア対ナミビアが行われた。W杯初勝利を目指したナミビアは、先制トライを含む3トライを決めるなど健闘したが、イタリアの前に22-47で敗れた。念願の白星に手は届かなかったが、フィル・デービス・ヘッドコーチ(HC)は試合後、「選手は本当によく戦った。修正すべき点もあるが、断然収穫の方が多かった」と選手を称えた。

試合終了後、健闘を称えあうナミビア代表【写真:石倉愛子】
試合終了後、健闘を称えあうナミビア代表【写真:石倉愛子】

普段はオフィスで働くFBトロンプ「朝、仕事に行く前にトレーニング」

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は22日、大会3日目を迎え、大阪・花園ラグビー場ではプールBのイタリア対ナミビアが行われた。W杯初勝利を目指したナミビアは、先制トライを含む3トライを決めるなど健闘したが、イタリアの前に22-47で敗れた。念願の白星に手は届かなかったが、フィル・デービス・ヘッドコーチ(HC)は試合後、「選手は本当によく戦った。修正すべき点もあるが、断然収穫の方が多かった」と選手を称えた。


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 デービスHCが敗戦の中にも胸を張る理由がある。ナミビアは人口約253万人のアフリカの小国だ。ラグビーは国内屈指の人気を誇るスポーツだが、成人男子の競技人口は約800人。代表の6~7割がアマチュアもしくはセミプロ選手で、正社員として9時から17時まで就業したり、学生として勉学に励んでいる。そのため、ラグビーの練習ができるのは、早朝か仕事や学校が終わった後。FBヨハン・トロンプも普段はオフィスで働いていると言い、「月曜から木曜は、朝、仕事に行く前にトレーニングをして、仕事が終わった後にラグビーの練習をしている。金曜日はオフで、週末に試合。なかなか大変だけど、やっぱりラグビーが好きだから」と説明する。

 この日、試合終了間際にトライを決めたSOチャド・プラトは、ナミビア大学でビジネスを専攻する大学生だ。W杯に初出場した試合で初トライを決めた21歳は「本当に信じられないくらいうれしい。将来、子供ができた時、自慢できることが作れた」と大喜び。それでも「やっぱり勝てなかったことは悔しい。もっといいプレーができるように、次の試合までに修正を重ねたい」と向上心を忘れない。

 決して恵まれた環境ではない中でも、大好きなラグビーをプレーし続ける選手の努力を、デービスHCは最も近くで見守ってきた。

「朝5時から練習したこともありました。それでも選手は本当に献身してくれた。6か月という話ではなく、この4年間ずっとです。彼らがどれだけ覚悟を決めてラグビーに打ち込んできたか、今日の試合に表れていたと思います」

 ナミビアのひたむきさは、客席を埋め尽くした2万人超のファンにも届いたのだろう。試合が進むに連れ、日本のファンはナミビアに大きな声援を送り始め、試合後には深々とお辞儀するナミビアの選手たちを惜しみない拍手で称えた。会見に同席した主将テューイ・ウアニビは「こんなに信じられないほど素晴らしいサポートをいただき、感謝してもしきれません」と感慨深げな様子だった。

 ナミビアの世界ランク23位は今大会に参加する20チームの中で最下位。さらにプールBには、ニュージーランド、南アフリカといった優勝候補も名を連ねる。W杯初勝利のチャンスがあるとすれば、プール最終戦のカナダ戦だが、大きなチャレンジになることは間違いない。それでもデービスHC率いる代表チームは、自分たちのプレーを通じて伝えたいことがある。

「ナミビアという小さな国から来て、この大きな舞台で怯まずに戦っている。そのことをナミビアの皆さんに誇りに思ってほしいし、若い世代には勇気を伝えていきたいです」(デービスHC)

 次戦は28日の南アフリカ戦。同じアフリカ大陸の強豪国に全力で挑みかかる。

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)

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