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同好会からの全国挑戦 「最後まで諦めない」初出場の関東第一が放った輝き

応援席も大きな盛り上がりを見せた【写真:山田智子】
応援席も大きな盛り上がりを見せた【写真:山田智子】

ボールもコートもないところからのスタート、4年でインターハイへ

「せっかく出たんだから、全国で関東一高の名前を残していこうと昨日のミーティングで話しました。最後まで諦めないチームだったなとか、なんだか頑張っているチームだったとか、何でもいいからと。それができたのなら、うれしいです」と峯村監督は誇らしげに初めてのインターハイを後にした。

 創部3年目で春の選抜大会に初出場。4年目の今夏のインターハイと連続出場を果たした。「トントン拍子に見えるかもしれないですけど、ボールもコートもないところから、まさにゼロスタートだったんです」と峯村監督は振り返る。

 日本リーグの強豪・大同特殊鋼で活躍した峯村監督が、引退後は中学校の指導を経て、4年前に同校に着任。ハンドボール同好会を立ち上げたところから始まった。

 初年度は一般の生徒から部員を募集し、「ボールがないので、走り込みばかりしていましたね。ハンドボール部で募集したのに、『ボールはいつ使えるんですか?』という状態でした」と笑う。

 エースの玉井も「ラン練習は本当にキツかった」と苦笑い。それでも「キツい練習をみんなで乗り越えてきたことが、チームの一体感につながっている」と話す。

 指揮官が退職金を切り崩して道具を揃え、トヨタ自動車東日本の中川善雄さんら知り合いから使い古したボールを譲り受けて、やっとキャッチボールができるように。少しずつ学校の協力を得て環境を整えてきた。それでも、今でもコートの全面を使えるのは、週に1回。現3年生には中学時代に全国を経験した選手はいない。香川中央の選手と並ぶと、体格の差も明らかだった。

「僕自身、実業団にいた頃はチームで一番小さい選手だったですけど、『それでもやれるんだ』と思いながら続けてきた。今日コートに立っていた選手は中学時代全国に行った経験もないし、東京都でもベスト4に入ったこともない子が多い。身体が大きくてすごい選手が揃えば確かに強いかもしれないですけど、そうではない子たちがそういうチームを苦しめる、それがうちのやり方だと思います」

 内田和大主将は「僕たちの代は中学時代に全国を経験した選手がいないので、全国で通用するか不安もありましたが、先生の教えてくれたことを生かして自分たちなりのプレーができました。関東一高の名前を残せたこともうれしいですし、自分たちの結果が後輩に刺激を与えられたと思う。練習から真剣に取り組んで、この舞台でリベンジしてほしいです」と後輩にエールを送る。

「最後まであきらめない」という伝統を引き継ぎ、後輩たちが再びこの場所で旋風を巻き起こす日が今から楽しみだ。

(山田 智子 / Tomoko Yamada)

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山田 智子

愛知県名古屋市生まれ。公益財団法人日本サッカー協会に勤務し、2011 FIFA女子ワールドカップにも帯同。その後、フリーランスのスポーツライターに転身し、東海地方を中心に、サッカー、バスケットボール、フィギュアスケートなどを題材にしたインタビュー記事の執筆を行う。

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