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「半月板損傷=手術」じゃない “第3の治療”再生医療でスポーツ界の常識は変わるか

秋本氏が経験したセルソースの「PFC-FD」の効果とは

 そこで今回、秋本氏に選んだのが、セルソースが加工・受託する白血球を含まない「PFC-FD」を用いたバイオセラピーだ。血液を採ってセルソースに送ると、3週間ほどで血小板から抽出したサイトカイン成分のみを凝縮し、凍結乾燥粉末にして戻してくれる。医師はそれを生理食塩水に溶かし、注射するだけ。松田院長は「正常な軟骨を攻撃する可能性がない。どの程度効くかは差が出るけど、損になることはないと選手に伝えています」と話す。

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 また、粉末は保存期間が長く、例えば、海外遠征中に負傷したとしても、帯同ドクターが注射することができれば、効果が見込める。「日本でも病院ですぐに治療を受けたり、注射を受けたりも難しい。それが海外であっても、注射を打てる人さえいれば問題ない。保存できるということが最大のメリット。アスリートにとってもいいこと」と松田院長は認めている。

 こうした狙いがあり、3月、実際に秋本氏に注射を行うと、本人も驚くべき変化が表れたという。秋本氏は当時の経験を興奮気味に振り返りながら、このように明かしてくれた。

「打ったその日から明らかに違ったんです。ストレッチをしていたら膝を曲げて戻す時、痛さがあった。ただ、夜に何気なくしていて、膝を伸ばしたら『あれ? 痛くないんだけど』と気付いて、次の日になったら『痛くないぞ』と。試しにちょっと走ってみたら今まで痛かったはずの動きでも痛くない。もちろん、無理やりな動きをしたら痛さは出るけど、普通に走るくらいなら痛くなかったんです」

 実際、PRP注射から11日後に華麗に走っている動画をSNSに上げると、知り合いのサッカー選手から「半月板切れてるんじゃなかったの?」と驚きの電話が入ったという。それほど、他のトップアスリートからしてもインパクトのある変化だった。他にも一般のフォロワーから問い合わせが相次ぎ、半月板治療で悩んでいる人たちの大きさを実感したという。

 以降も順調に回復。手術を受けることなく、秋本氏の経過は良好だ。8月には北海道マスターズで復帰戦に挑み、100メートルを走った。「全く痛みもない」という。松田院長は「私の見解としては切れている半月板がみるみるうちに元に戻っていく魔法のような注射ではないと思っている」と前置きした上で、意義を語る。

「ただ、膝の関節内部の状況が良くない患者に対し、PRP注射によって関節の炎症が収まり、組織を修復する因子が吸着され、関節内部の環境が劇的に良くなることはあり得ます。炎症が収まると痛みが取れ、それによって動けるようになる。秋本さんの場合は筋肉が発達し、体のバランスが取れ、関節の環境が良くなったことにより、動けるようになったということだと思います」

 さらに、松田院長は「3か月から半年で元に戻る可能性はあります。どれくらい効き、効果があるのか。3か月に1回ずつやれば予防できるものなのか、半年持つのか、それは個人によってわからない部分もあります」と付け加えた。それでも、この再生医療に代表されるバイオセラピーがスポーツ界に価値をもたらす影響は大きいとみている。

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