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栄養アドバイザーが考える理想の水分補給 今春に誕生した“ポカリスエット ゼリー”の可能性

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実践的な水分補給は? 運動前の水分補給の必要も…

 以下は実践的な水分補給の一例となる。

○運動前20~40分前
運動中の脱水を遅らせるため、水もしくはスポーツドリンクをコップ1~2杯程度飲んでおく。

○運動中
のどの渇きを感じる前に、15~30分間隔でコップ1杯程度を目安に水分補給。

○運動後
水分補給と同時に、肉体の疲労回復を早めるため、糖質や電解質、クエン酸を含んだ果汁100%ジュースなどを飲む。

※運動後、食事が摂れなくなるような飲み方は控える。

 これを踏まえた上で、運動時間によっても摂る飲料を考えることが大切だという。

「運動が1時間以上を超える場合は、糖質4~8%程度、塩分0.1~0.2%の濃度を目安にしたスポーツドリンクを飲むことをお勧めしています。運動することで消費されるエネルギー源であるブドウ糖や、汗をかいて失われるナトリウム(塩分)を同時に摂取することは非常に大事になります」

 体を激しく動かすことで、肉体からは水分とともにミネラルイオンが失われてしまう。筋肉の収縮などにかかわるミネラル不足は筋肉のけいれんとも深い関わりがあるため、単に水分を摂取するのではなく、摂取する成分も重要な要素となるという。

 たとえば、スポーツドリンクの代表格である「ポカリスエット」は、ブドウ糖やナトリウム、カリウム等のミネラルがバランス良く含まれており、水分補給に適した飲料。また、そのポカリスエットを提供してきた大塚製薬は今年4月に、水分や電解質をスムーズに補給できるゼリータイプの「ポカリスエット ゼリー」を発売した。この新商品は水分補給の新たな形として大きな注目を浴びている。

 実は、運動前の水分補給という点について意識している人は少ないとの調査結果も出ている。2013年の調査によれば(※3)、運動前に水分補給を行う人の割合は32%となっており、約7割が運動前に水分補給をしていないというデータが出ている。“水分を摂るとお腹がタポタポして動きづらい”という話はよく聞くが、確かに実践的な水分補給という面から見ると、運動前の水分摂取は敬遠されがちなのかもしれない。

 こういった課題を解決する目的が、前述の「ポカリスエット ゼリー」にはある。そのコンセプトは「食べる水分補給」であり、ポカリスエットの成分を取り入れつつ、ゼリー状にしたことで少しずつ取り入れ、お腹に水分が溜まった感覚を抑えやすくしている。

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/