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栄養アドバイザーが考える理想の水分補給 今春に誕生した“ポカリスエット ゼリー”の可能性

毎年夏になると熱中症に関するニュースを目にする人も多いはず。日頃から対策をとるには、まず熱中症を正確に理解することが大切となる。

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水分補給に悩む声「何をどのように飲ませればいいのか…」

 毎年夏になると熱中症に関するニュースを目にする人も多いはず。日頃から対策をとるには、まず熱中症を正確に理解することが大切となる。

 特に高校総体などの学生スポーツやジュニア世代のスポーツ活動が真っ盛りとなる夏休みの時期には、午前中から30度を超えることも珍しくなく、細心の注意が必要だ。熱中症は、高温多湿の環境に長くいることで徐々に体内の水分や塩分のバランスが崩れることが原因となる。体温調整機能がうまく働かないことにより、体内に熱がこもり、筋肉痛や大量の発汗、吐き気や倦怠感などの症状が現れ、最悪の場合は死に至る危険性がある。

 では、熱中症を防ぎ、水分補給によるコンディション低下を抑えるにはどうしたら良いのだろうか。

 今回、水分補給の重要性について、Jリーグの横浜F・マリノスやラグビートップリーグのパナソニック ワイルドナイツなどの栄養アドバイザーを務める橋本玲子さんに話を聞いた。

 国内トップチームの栄養サポートだけでなく、10代の若年層アスリートを持つ保護者への栄養セミナーなども数多く行っている橋本さんは「保護者の方々からも、よく水分補給についてのアドバイスを求められることが多いですね。この点に関して言えば商品の種類、商品それぞれが打ち出している情報などが多くなっていて、水分補給について親御さんや保護者の方々も、何をどのように飲ませればいいか、分からなくなっているのだと感じています」と話す。

 その中でポイントとして挙げたのは「水分を摂るタイミング」。

 一般的に人は体重の2%の水分を失うと、のどの渇きやめまいを覚え始め、肉体のパフォーマンスが落ちるとされる。具体的な数字で挙げると、体重40kgの子どもがトレーニングをした際、練習前後の体重差が0.8kgを超えないようにしなければならない(※1)。

 しかし炎天下で激しいスポーツを行った場合、1時間で約1.8リットルもの水分を失うとの研究結果もある(※2)。昔は部活動などの練習中に“水を飲ませない”といった指導もあったが、科学的に見て競技に取り組む中での水分補給は不可欠だ。

 橋本さんが推奨するのは、一度に大量の水分を摂るのではなく、計画的に必要な量を補給するルーティンをつくること。それは運動中だけでなく、運動前後のタイミングでも非常に重要となるという。

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/