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「流した汗は嘘をつかない」は”嘘” 来日6年の伊指導者が語る、日本の育成論の誤り

日本人選手は小学生になると「予測しやすいプレーばかりになっていく」

「イタリア連盟は、可能な限り多くのチームを作るように促しています。なるべく選手たちを分散させ、個々のプレー機会を増やすための施策です。日本のように同じチームに何十人、何百人も選手が在籍していたのでは、育成の効率が確保できません。所属する選手の数が限られていれば、BチームやCチームの試合もなく、自分の試合を終えた選手はすぐに帰れるわけです。強いチームに行けば上手くなるというのは、トレーニングをやればやるほど上手くなるのと同様に誤っていると思いますよ」

 モネーゼは、日本の可能性を信じる指導者の一人だ。だが6年間も育成の現場に立ち続けたからこそ、見えてきた課題もある。

「サッカーを始めた頃は、日本でもイタリアでも、子供たちはみんな積極的にいろんなことにチャレンジしようとするんです。でも日本では小学生になってチームの活動が始まると、この傾向が薄れていきます。テクニックはミスするのが難しいほどのレベルに到達するのですが、逆に予測しやすいプレーばかりになっていく。残念ながらJリーグにも、その傾向は表れています」

 日本サッカー界にとっては耳の痛い声かもしれないが、どれも鋭く的を射ていた。

(文中敬称略)

[指導者プロフィール]
ルカ・モネーゼ

ACミランアカデミー千葉佐倉のテクニカル・ディレクター。1981年4月24日生まれ、ヴェローナ大学スポーツ運動科学部を卒業し、キエーボ、ヴェローナ、ミランなどセリエAの各クラブで指導に携わり、2012年に来日。ACミランスクール大分を経て現職に至る。大学では「スポーツ活動における指導方法論と、成長期の運動と身体の発育」を専攻し、フィジカル、アスレティック両トレーナー、及びUEFA(欧州連盟)B級ライセンスを保有。

[通訳]
長内秀樹

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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