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選手のプレーを劇的に変えた“2分半の声かけ” 積極性を生む「褒めまくる」言葉の力

急変貌させる秘訣は、サッカーを始めた頃の気持ちを引き出すこと

 上船は、明治大学のセカンドチームを指揮した1年間で成功体験を積んでいる。関東大学1部のインディペンデントリーグ(セカンドチームのリーグ戦)で、チームは個々が年間を通しても成長を遂げ、無敗で優勝を飾った。

「時間の長短はありますが、毎日必ず実践したのが紅白戦でした。例えば日曜日の試合で快勝し、月曜日がオフだとすると、火曜日の時点ではリーグ戦で快勝した選手たちがスタメンです。でも火曜日の紅白戦で活躍した選手がポジションを奪い、それが毎日繰り返されていく。だから試合前日のセットプレーの練習まで、チーム全体が緊張感に包まれていました。選手たちも、このセットプレーで結果を出せば、試合に出られることを知っていますからね」

 それは試合中も同じだったという。ベンチに座った選手にも、必ずチャンスが巡ってくるという意識が浸透していた。

「東海大に5-0で快勝した試合があったんですが、前半は1-0で折り返し。しかし後半の途中から出場した選手たちが全員ゴールを決めました」

 誰もが楽しいから始めたサッカーである。だから上船は、その初心のままのポジティブなプレーを引き出そうとする。急変貌の秘訣は、誰もが知る当たり前のことを、確実に実践し続けることにある。(文中敬称略)

(第4回へ続く)

[指導者プロフィール]
上船利徳(うえふね・としのり)

神村学園高校、東京国際大学でプレーし、ドイツ4部のKFCユルディンゲンとプロ契約。怪我で引退するが帰国後「ファーダンサッカースクール」を起ち上げ、明治大学コーチなども経験し、25歳で神村学園がエリート人材の育成を目的として展開する「淡路島学習センター」のセンター長に就任。「キックマスター講座」も好評。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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