インタビュー

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探究し続ける基礎の重要性 “絶対王者”として目指す2つ目の金メダル

柔道 髙藤直寿選手

銅メダルの悔しさで見直した練習と私生活「まあ金メダルは獲れない」

 東京2020オリンピックの金メダリストにして、2022年の世界柔道選手権大会(世界選手権)では日本男子最多タイとなる4度目の優勝を飾った髙藤直寿選手(パーク24所属)。60キロ級では向かうところ敵なしの猛者は今、2024年のパリオリンピックに向けて「面倒くさいこと、嫌なこと」に率先して取り組みながら、研鑽の道を歩んでいる。

「今も本当は避けたいんですけど(笑)。でも、面倒くさいことや嫌なことが、実は自分にとって一番意味のあることだと感じたので、地味な基礎の練習を続けたり、乱取りでも最初に嫌な選手と組んでみたりしています」

 基礎の大切さを思い知らされたのは、2016年リオデジャネイロオリンピックだった。金メダルを期待されながらも準々決勝で敗れ、敗者復活戦から銅メダルを獲得。高校時代から数々の国際大会で優勝を重ねてきたが「一番の夢に初めて挑戦し、負けて挫折を味わった。このままの自分では金メダルは獲れないと思ったので、練習も私生活も見直しました」と振り返る。

 オリンピックでの優勝にはこだわりがある。「小さな頃の夢が世界チャンピオンではなくて、オリンピックの金メダリストだったので」とキッパリ。リオデジャネイロ大会以降の日々は「銅メダリストとして生きてきた」と悔しがるが、その悔しさが大きな成長をもたらした。

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 リオデジャネイロ大会までの日々は睡眠や食事に気を遣うことなく、トレーニングも自己流で気分次第でやらないこともあったという。「あの練習量や私生活を考えたら、まあ金メダルは獲れないだろうと思います」と苦笑い。長く続けるうちにおざなりになっていた基礎から積み直すうちに「自分のやっていることを全て出せば勝てる自信がついた。あえて攻撃しなくても、相手の動きを利用しながら、自分の一番勝ちやすいストーリーを作って試合をできるようになりました」と話す。

 派手で攻撃的な柔道から、派手さはないが基本に忠実なスタイルに変化。東京オリンピックの決勝戦では楊勇緯選手(台湾)に延長戦で反則勝ちし、悲願の金メダルを手に入れた。我慢強く相手のミスを誘う玄人好みの勝利に「柔道をよく知らない人には分かりにくい、分かる人には相当面白い戦術だったと思います」と、してやったりの笑顔を浮かべる。

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