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「スポーツを教える」はボランティアじゃない アスリートのセカンドキャリア問題

陸上界の現状は「指導者=先生」、転身しようと思っても苦労が…

 競技実績を活かし、指導者に転身しようと思っても、人脈がなければ、ノウハウもない。何を突破口にして、道を拓いていいか分からない場合も多い。実際に、秋本氏も指導者に転身するにあたり、苦労した一人だ。

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 秋本「陸上界においていえば、現状は『指導者=先生』です。優秀な成績を残した選手は大学、高校の監督になったりするケースが多いです。僕も教員免許を持っているので先生になると思っていました。でも、教育実習に行った時に陸上部の顧問になれないこともあるなと思ったんです。すでに陸上部に先生がいて『〇〇部をやってくれ』と言われることもあるし、そもそも行きたい学校に行けるわけでもないので、陸上部がない可能性すらあります。そう考えると、自分は先生になりたいのではないんだなと感じたんです。

 ただ、そういう風に教員の道を選んでいる学生はたくさんいます。行った先で同じような状況になって初めて分かることもあります。陸上部の顧問になれないと、モチベーションが減っていく現状もゼロではないと思っています。だから、自分がやってきた足を速くする職業を作ってやろうと思ったのがきっかけです。僕も伊藤もイレギュラーな経歴だと思います。その分、レールを敷いてないところを突いているので、風当たりが厳しいこともありました。絶対、無理だろうと言われたりもしたけど、自分の人生だから突き進んでいこうという気持ちがありました」

 伊藤氏はアテネ五輪1600メートル4位入賞の実績を誇る。引退後は主に小学生を中心としたかけっこ教室で全国の子供たちの足の高速化に挑んでいる。なぜ、セカンドキャリアを指導の道に捧げたのか。

 伊藤「アテネ五輪に出た後にめちゃくちゃ足が遅くなった経験があったんです。昔から分析とか、何かを探ることが好きな性格でしたが、遅くなった原因がその当時は全くわかりませんでした。1年前の自分と比べて身体的にほぼ変わっていないのに、なぜ遅くなるんだろうとすごく不思議でした。そこから勉強と検証を重ね、今に至るまで試行錯誤を重ねています。その結果、いい動きをすれば、年齢を問わず、誰でも速くなることがわかってきました。27歳頃からは選手を続ける傍ら、中央大のコーチとして大学生を対象に指導を行うことになりました。

 学生たちが速くなっていく姿を見た時に思ったのは、自分が速くなることは自分自身の幸せにとどまりますが、他の誰かが速くなるということは対象者を増やしていけるし、幸せの総数が増えそうということです。その方向でキャリアを考えたのが選手引退間際の30歳。小学生を対象にしたのは、足が遅くなり苦しんだ僕と同じように、足が遅いことで自信を失っている子供が多くいて、それがその後の人格の形成にまで少なからず影響しているのではないかと感じたからです」

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