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日本サッカーの真の底上げとは ブラジル帰りの元プロ選手が感じる育成年代の課題

育成年代では焦らずに基本を身に着けさせることが大切なのは、大半の指導者が認識している。しかし檜垣裕志(明光サッカースクール・ヘッドコーチ)は「本当の基本とは何か。それが浸透していない」と感じている。

檜垣裕志【写真:加部究】
檜垣裕志【写真:加部究】

【短期連載最終回】檜垣裕志「利き足指導法」の挑戦――日本の育成年代に必要な真の技術指導

 育成年代では焦らずに基本を身に着けさせることが大切なのは、大半の指導者が認識している。しかし檜垣裕志(明光サッカースクール・ヘッドコーチ)は「本当の基本とは何か。それが浸透していない」と感じている。

「きちんとボールを持って奪われない。一番大事なのは、そこです。日本の育成は、楽しいトリッキーな技を覚えるか、指導者が勝つためのチームを作ろうとするか、両極端に分かれてしまい、本当の基本を教えようとしていない。フィジカルの強い小学生を集めて、勝つためのプレーをさせれば、相手のテクニックが未成熟なら結果が出る。しかしトリッキーなドリブルを始めるためには、最初のタッチでボールを収める技術が必要です」

 4年前のU-17女子ワールドカップで日本は世界制覇を成し遂げているが、檜垣の指導を受けた2人の選手が、この快挙を経験した。

 佐藤瑞夏(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)と大熊良奈(浦和レッズレディース)である。

「瑞夏は会うと『トラップ&キックだけで1時間半くらいやらされたよね』と笑って言います。黙々とこなすトレーニングですが、こちらにそれが大事なんだという信念があれば伝わります。Jクラブのアカデミーでエース格でも、オフの日にこっそり練習に来る子もいました。自分のことを上手くしてくれるのは、ここだと感じてくれたんだと思います」

 そういう意味では、Jリーグでもアカデミー本来の目的を見失いがちなクラブがあるのかもしれない。

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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