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サッカーの「本当の基本」とは? 日本人元プロがブラジルで得た「奪われない感覚」

檜垣裕志に辿り着いたのは、彼の教え子の鷲野晴貴を取材したのがきっかけだった。

子供たちに指導する檜垣裕志【写真:加部究】
子供たちに指導する檜垣裕志【写真:加部究】

【短期連載第3回】檜垣裕志「利き足指導法」の挑戦――利き足で両足以上のことができるのが「本当の器用」

 檜垣裕志に辿り着いたのは、彼の教え子の鷲野晴貴を取材したのがきっかけだった。

 鷲野は現在16歳。中学時代に利き足にこだわる檜垣の指導を受け急変貌。アルゼンチンの名門ニューウェルス・オールドボーイズの下部組織に在籍している。檜垣は「出会った頃から左利き特有のボールの持ち方はできていた」と振り返るが、鷲野は「自分でもびっくりするくらい変わった」という。

「アルゼンチンでは、誰にでも憧れの選手がいて、真似をしながら育ってくる。だからみんな利き足しか使いません」

 実は檜垣も、それを20年ほど前にプロ契約を結んだブラジルで実感している。

「とにかくブラジルでは、誰もが小さい頃からサッカーを見て育ってきている。そしてストリートでも何人かが集まればゲームが始まります。でも日本では一人が1個ボールを持っていることもあり、集まったら蹴ることから始まる。ゲームから入るブラジルでは、ボールを持ったら取られないことが一番大切。取られたらパスを出してもらえませんからね。そんな環境で育つと、誰に教わるわけでもなくボールを奪われないところに置くことを覚え、奪われない感覚が養われていくんです」

 おそらく日本でも、誰も教えなければ子供たちは利き足だけでプレーをするようになるはずだ。だが大人に両足で扱うように導かれて変わっていく。檜垣は強調する。

「たぶん右利きで達筆な人は、練習をすれば左手でもそれなりに綺麗な字を書けるようになる。でも絶対に利き手以上の字は書けませんよね。よく日本人は、両足が使えて器用だと言われますが、利き足で両足以上のことができるのが本当の器用なんだと思いますよ」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近東京五輪からプラチナ世代まで約半世紀の歴史群像劇49編を収めた『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』(カンゼン)を上梓。『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(ともにカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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