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MLBとNFLからドラ1指名も マルチな“二刀流選手”を生み出す、米国の部活システム

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「“二刀流選手”が生まれる理由」について。

カイラー・マレー【写真:AP】
カイラー・マレー【写真:AP】

連載「Sports From USA」―米国に複数種目にまたがる二刀流選手が生まれる理由

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「“二刀流選手”が生まれる理由」について。

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 日本のスポーツ界の二刀流といえば、打者でありながら投手でもあるエンゼルスの大谷翔平選手を思い浮かべる人が多いのではないか。

 米国では、複数の種目にまたがる二刀流選手が多くいる。

 伝説の万能選手、ジム・ソープ。1912年のオリンピックでは五種競技と十種競技で金メダルを獲得し、1913年にはメジャーリーグのニューヨーク・ジャイアンツと契約。学生時代からアメリカンフットボールをしていて、プロのアメフト選手でもあった。MLBとNBAの両方で優勝経験のあるジーン・コンリー。MLBとNFLでオールスター選手に選ばれたボー・ジャクソン。女子ではオリンピックの陸上競技で優勝し、その後はゴルファーとして全米女子オープンで優勝したベーブ・ディドリクソン=ザハリアスら。最近では、MLBとNFLから1巡目指名を受けたカイラー・マレーが、NFLに進路を絞ったことなどが話題になった。

 米国では高校運動部もNCAA(全米大学体育協会)もシーズン制。秋はアメリカンフットボールや陸上種目の一種であるクロスカントリー、冬はバスケットボールやアイスホッケー、春は陸上競技や野球、ラクロスなどに分かれている。高校は各州の統括組織が、シーズンの練習開始日と終了日を決めていて、シーズンのオンとオフがはっきり分かれている。

 そのため、例えば、秋にアメリカンフットボールをやっている生徒は、冬にバスケットボールをし、春には陸上競技をすることができる。それだけではない。米国の中学生や高校生は複数の運動部に参加しながら、オーケストラや吹奏楽などの音楽や、演劇、生徒会といった活動と掛け持ちしている生徒もいる。

『日本の部活 文化と心理・行動を読み解く』(尾見康博・ちとせプレス)は、米国と日本の運動部を比較して、日本は一途主義であると指摘している。日本では、掛け持ちして、どちらかがおろそかになってはいけないという考え方や、いったん何らかの活動に参加したら、最後までやり抜くことが良いとされているからだ。一方の米国では、運動部やその他の活動の指導者は、子どもたちに対して「時間管理」をすること、その都度、「優先順位」をつけて行動することを求めるが、複数の活動に参加することには寛容だ。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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