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トランスジェンダー生徒の運動部活動の難しさ 米国は大会で負けた女子選手が訴訟も…

16州で特別な条件なしに自認する性別で大会参加OK、一方で女子選手が訴訟も

 昨年2月、コネチカット州の高校女子陸上の何人かの選手が、高校の大会にトランスジェンダー選手を参加させないようにしてほしいと、教育委員会とコネチカット州の高校運動部を統括する組織を相手に訴訟を起こした。彼女らは男性から女性に移行したトランスジェンダーの生徒に大会で負けていた。彼女らは、トランスジェンダーの生徒が参加することで、自分たちが優勝する機会を失い、大学から奨学金を得られないという不利益があると訴えたのだ。

 米国ではトランスジェンダーの生徒の運動部での大会参加規定を定めている州が多い。TRANSATHLETE.COMによれば、16州(ワシントンD.C.含む)が、特別な条件なしで自認する性別での参加を認めており、14州では医学的な証明などを求めている。10州では規則がなかったり、ケースごとの判断に委ねられたりしている。また残りの11州ではホルモン療法を求めていたり、法的に性別の変更が行われたりしている場合だけ、移行した性別での参加を認めている。

 ちなみにコネチカット州は特別な条件なしで自認する性別での参加を認めている16州のうちのひとつである。

 特別な条件なしで自認する性別での大会参加を認めている州では、IOCなどのようにテストステロン値が基準値未満であることを求めていない。これらの州では性別によって、学校における差別を禁じるという法律を根拠にしている。生まれたときは男子であったが女子として生活しているトランスジェンダーの生徒は、女子として学校生活も送っている。運動部活動のときだけ、男子として活動させるというのは、トランスジェンダー生徒の学校生活が困難になる恐れがあるし、排除するという考えにつながるだろう。

 一方、男性と女性の身体的な差から、女子の大会では、トランスジェンダーの生徒が常に優位に立つ状態は競技の公平性が問われる。生まれながらに女子である生徒がいつも不利を被ることになるからだ。米国にはタイトルIXという法律がある。これは、連邦政府の補助を受けている教育機関で、性別によって活動の機会が制限されないことを保障するものだ。トランスジェンダーの生徒ばかりが優勝することになれば、女子選手の活動機会の保障に反することになるのではないか、という意見がある。しかし、その一方で、男性から女性に移行したトランスジェンダーの生徒もまた、女子生徒であり、性の違いによって活動を制限されることがあってはならないと指摘されている。

 自認する性別での運動部参加を認めないという法案が出ている州も複数あるが、今年2月には、米国の司法省と教育省の公民権局は、コネチカット州の女子生徒の訴訟の支援を取りやめている。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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