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岩渕真奈の成長の裏で残ったなでしこの課題 永里亜紗乃「メダル候補相手には致命傷に」

「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、五輪を通して得られる多様な“見方”を随時発信する。23日の開会式を前に21日に行われた女子サッカー初戦、日本代表のなでしこジャパンは強豪・カナダと対戦し、1-1と引き分けた。白星発進したかった初戦で勝ち点3を取ることはできなったが、元日本代表FWで2015年ワールドカップ(W杯)カナダ大会準優勝メンバーの解説者・永里亜紗乃さんはこの試合にどんな「ミカタ」を持ったのか。(構成=藤井 雅彦)

終盤に同点ゴールを決めた岩渕真奈【写真:Getty Images】
終盤に同点ゴールを決めた岩渕真奈【写真:Getty Images】

「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#2

「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、五輪を通して得られる多様な“見方”を随時発信する。23日の開会式を前に21日に行われた女子サッカー初戦、日本代表のなでしこジャパンは強豪・カナダと対戦し、1-1と引き分けた。白星発進したかった初戦で勝ち点3を取ることはできなったが、元日本代表FWで2015年ワールドカップ(W杯)カナダ大会準優勝メンバーの解説者・永里亜紗乃さんはこの試合にどんな「ミカタ」を持ったのか。(構成=藤井 雅彦)

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 自国開催での五輪という一生に一度かもしれない晴れ舞台。その初戦ですから、なでしこジャパンの選手たちが緊張するのも無理はありません。

 その影響もあったのか、前半6分という早い時間帯に失点する苦しい立ち上がりでした。数年前の彼女たちであれば、そのまま相手の勢いに呑みこまれてズルズルと失点を重ねていたかもしれません。ですが失点後にも攻撃の形を作り、後半に入ってからはより前向きな姿勢で相手ゴールを狙えていました。

 その積み重ねで試合終盤に奪った同点ゴールの価値は大きく、岩渕真奈選手の成長を感じました。プレー全体に余裕が感じられましたし、相手を見ながらドリブルができていたシーンには落ち着きもありました。こういった落ち着きが、難しい浮き球を冷静に流し込んで同点ゴールにつながったのでしょう。

 昔はワンプレーごとにフルパワーで、周りを見渡す余裕までありませんでした。そういった一生懸命さは彼女の魅力のひとつでしたが、昨年末からイングランドでプレーするようになってフィジカル的な強さに加えて精神的な部分が変わりました。そして本当の意味でこの大会に懸けているという気持ちが伝わるゴールを決めてくれて、もう私が知っている10代の頃の子供のぶっちーではありません(笑)

 難しい試合をエースの得点で引き分けたことはポジティブに捉えるべきでしょう。2大会連続で銅メダルを獲得しているカナダは日本よりも格上。そのチームに対して反発力を見せての勝ち点1獲得は、第2戦以降にもプラスのエネルギーをもたらしてくれるはずです。

 ただし内容を精査していくと、いくつかの課題が浮き彫りになった初戦でもありました。

 まず、2019年のW杯の時から気になっていた1本のパスの質です。パスには強弱がありますが、その強の部分に物足りなさを覚えました。速いパスを1本通すことで局面を打開できるのですが、それがないことで攻撃にテンポが生まれず、カナダのプレッシャーを受けていました。バックパスが弱くなってピンチを招いた場面も問題で、これからメダル候補のチームと戦う時は致命傷になりかねません。

 次に、ボールに対してのアプローチの距離がなかなか縮まらないことが気になりました。相手選手がプレッシャーを感じる間合いに入れるかどうかは、試合の主導権争いに大きく関わってきます。問題はフィジカルなのか、意識なのか、あるいは経験なのか。一朝一夕では解決しないだけに、大会を通してしっかりと向き合っていかなければいけない課題だと思います。

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